アセビ

アセビ(ツツジ科)[馬酔木]

名は馬が食べると酔ったようになることから、足癈(アシジヒ)がアシビ、アセビになったという。また、悪しき実が転訛したという説もある。別名アセボという。

日当たりのよい山地の岩の多いところに生える常緑低木~小高木で、通常高さ1-3m程度だが、自生地では群生することが多く、大きいものは10m近くになる。
樹皮は灰褐色で縦に裂け目が入りねじれる。若い枝は緑色で稜があり、初め短毛が密生するが後に無毛。新芽は赤く色づき美しい。
葉は枝先にやや輪生状に集まって互生し、長さ3-9cm、幅1-2cmの倒披針形。やや厚くて表面は濃緑色で光沢があり裏面は淡緑色、基部はくさび形で先は鋭くとがり、縁の上半部に細かな鈍鋸歯がある。表面主脈上に短毛があるほかは両面無毛。葉柄は長さ2-7mm。
10-11月に枝先の葉腋から長さ10-15cmの円錐花序を下垂し、年が明けてから多数の白色花を咲かせる。萼は5深裂し、萼片は長さ2-3mmの狭卵形で先はやや鈍い。萼や花柄の色は緑色や紅色など変化が多い。花冠は長さ6-8mmの細い壺形で先は浅く5裂する。裂片は広円形。雄しべは10個、花糸の基部に短い軟毛が密生し、葯の下部に刺状の突起が2個ある。雌しべは1個で花冠とほぼ同長、子房と花柱は無毛。
果実は直径5-6mmの扁球形の蒴果で、上向きにつき9-10月に褐色に熟して5裂する。種子は長さ2-2.5mm。

常緑で花も美しいことから庭木や盆栽とされる。葉や茎はアセボトキシン、アセボチンなどを含み有毒で、かつては葉を煎じたものが殺虫剤として利用された。誤って人が摂取すると、腹痛、嘔吐、下痢を起こす。
花序が長さ15-30cmに伸びるものをホナガアセビといい、群落中にまれに生える。奄美大島に生えるアマミアセビは花冠が長さ0.8-1cmと大きい。盗掘により自生地にもほとんど残っておらず、育苗して植え戻す活動が行われている。
花期:2-5月
分布:本(山形・宮城以南)・四・九・沖
撮影:2009.2.21 京都市右京区
アセビ-2
2016.3.2 横浜市緑区

アセビ-3
園芸品種。薄いピンク。 2016.3.2 横浜市緑区

アセビ-4
園芸品種。濃いピンク。 2016.3.2 横浜市緑区

アセビの花
萼の色は赤や緑など変異がある。 2019.3.14 横浜市金沢区

アセビの葉
葉は倒披針形でやや厚く、表面は光沢があり、枝先にやや輪生状に集まって互生。 2018.3.15 横浜市金沢区

アセビの若い果実
若い果実。 2018.4.4 横浜市栄区

アセビの花芽
翌年春の花の準備。 2021.11.4 神奈川県横須賀市


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