エンコウカエデの花

エンコウカエデ(ムクロジ科)[猿猴楓]

猿猴とはテナガザルのことで、名は葉の裂片をテナガザルの手に見立てたもの。別名アサヒカエデという。ほかに猿猴の名を和名にもらったものにエンコウソウがあるが、そちらは長い花柄をテナガザルの腕に見立てたもの。

丘陵地~山地のやや湿った谷沿いなどに生え、高さ10-20mになる雌雄同株の落葉高木。太平洋側で見られるイタヤカエデ(広義)では最も普通。樹皮は暗灰色で老木になると縦に浅く裂ける。若枝は緑色~紅紫色で無毛。
葉は対生し、長さ8-20cm、幅7-15cmで掌状に深く5裂し、基部は切形~浅い心形。裂片は披針形~披針状楕円形で基部は狭まり先は尾状にとがる。縁は全縁または波状。幼木ではしばしば大きな歯牙がある。表面に光沢があり、両面とも無毛または裏面基部の脈腋に毛叢がある。葉柄は長く、しばしば赤みを帯びる。秋には美しく黄葉する。
葉の展開に先立ち、本年枝の先に散房花序を出し、雄花と両性花を混生してつける。花は直径5-7mmで黄緑色、花弁と萼片は5個。雄花は多数の雄しべがあり、両性花には雌しべと退化した雄しべがある。
果実は2分果となる翼果で、果柄は赤みを帯び、分果は翼を含めて長さ2-3cmで無毛。翼は鋭角に開く。

葉の裏面脈上と脈腋に開出毛があり、葉柄上部も有毛のものをウラゲエンコウカエデという。
花期:4-5月
分布:本(岩手県以南の太平洋側)・四・九
撮影:2018.4.26 東京都八王子市
エンコウカエデの葉
葉に鋸歯がなく裂片の基部は狭まり先は尾状に長く伸びる。 2018.4.26 東京都八王子市

エンコウカエデの黄葉
秋には美しく黄葉する。 2017.11.29 横浜市栄区

エンコウカエデの樹皮
樹皮は暗灰色で縦に浅く裂ける。 2019.6.17 神奈川県厚木市


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