ハクサンコザクラ

ハクサンコザクラ(サクラソウ科)[白山小桜]

ハクサンは加賀の白山のことで、ここで最初に見つかったのでこの名がついている。別名をナンキンコザクラという。

エゾコザクラの変種で日本固有種。日本海側の多雪地の亜高山帯~高山帯の湿った草地や雪田の周りに群生する多年草で、全体無毛、高さ5-17cmになる。
葉は全て根生し、短い根茎に束になってつく。若葉は内側に畳まれている。やや多肉で長さ1.5-5cm、幅1-2.5cmの倒卵状くさび形、上部に10-25個の不揃いの鋭鋸歯がある。葉身の基部は次第に細くなるが幅広く、葉身と葉柄の境ははっきりしない。
花茎の先に花を散形状に1-10個つける。苞は広線形。花冠は直径2cmほど、紅紫色で喉部は黄白色、5深裂し裂片はさらに2中裂し、平開する。筒部は長さ7-8mmで花冠裂片より短い。雄しべは花筒内につき5個、花冠裂片と対生する。萼は鐘形で5深裂し、裂片は長さ5mmの披針形。先はやや鈍い。萼や花柄に腺点状毛がやや密に生える。
果実は卵状広楕円形の蒴果で、長さ5mmほどで萼と同長かやや短い。

各地にこの花の名所があるが、会津駒ヶ岳から中門岳への縦走路の池塘に影を映して咲くこの花の群落は見事で、その美しさから多くの登山客をこの山へと引き寄せる。
白花品はシロバナハクサンコザクラという。
母種のエゾコザクラは全体に小さいが、花はやや大きく直径2-2.5cmで花色が濃く、花冠裂片の切れ込みはやや浅い。花茎に細毛と腺毛がある。
青森県の岩木山にはやや大型のミチノクコザクラがあり、葉は長さ5-15cm、幅1.5-3cmで縁に不揃いの低い重鋸歯がある。
花期:6-8月
分布:本(飯豊山以南~白山以北)
撮影:1999.7.25 新潟県妙高高原町
ハクサンコザクラ-2
花茎の先に花を散形状に1-10個つける。 1999.7.25 新潟県妙高高原町

ハクサンコザクラ-3
1999.7.25 新潟県妙高高原町

ハクサンコザクラの葉
葉身の基部は幅広く、葉柄との境ははっきりしない。 2008.8.3 長野県小谷村

ハクサンコザクラ-4
高山の湿地で帯状に咲いていた。 1999.7.25 新潟県妙高高原町

ヒナザクラに戻る ミチノクコザクラに戻る


検索サイトからこのページへ直接お越しの場合は、 トップページへお回りいただきフレームを表示させてください。