ハリエンジュ(マメ科)[針槐] |
エンジュによく似ていて、葉の付け根に刺があることからこの名がある。別名ニセアカシアといってこちらのほうが通りがよい。由来は当初アカシアとよんでいたが、本来のアカシアが移入されるようになり、種小名を直訳し「ニセ」を冠してよぶようになったもの。 普段は気づかれないが、花が咲くと一躍その存在と繁殖力を誇示する樹木。春、総状花序を樹冠いっぱいに垂らし、辺り一面に甘い香りを放つ。庭木、街路樹、砂防樹、薪炭材などとして植えられたが、凄まじい繁殖力により全国の川の両岸などで列になって野生化しているため、「生態系被害防止外来種(産業管理外来種)」で、日本生態学会が定めた「日本の侵略的外来種ワースト100」にも選ばれている。 明治時代初期に渡来した北アメリカ原産の落葉高木で、高さ15-25mになる。樹皮は淡褐色で縦の網目状にやや深い割れ目が入る。 葉は互生し、長さ15-30cmの奇数羽状複葉。葉の付け根には托葉が変化した1対の刺がある。小葉は質が薄く、5-10対あり、長さ2.5-5cmの楕円形で全縁、基部は円形、先は僅かにへこみ、微突端。両面に短毛があるが後に少なくなる。小葉の基部の小托葉も刺状。 本年枝の葉腋に長さ10-15cmの総状花序を下垂し、長さ1.8-2cmで芳香のある白色の蝶形花を開く。花柄は長さ7-8mmで花軸とともに短毛が密生する。花序には葉がつかない。萼は広鐘形で短毛が密生し、上部に5歯がある。旗弁の基部に黄色の斑点がある。 豆果は長さ5-10cm、幅1.5-1.8cmの曲がった線状長楕円形で背軸側に狭い翼があり、無毛。種子は3-10個あり、直径5-6mmの扁平な腎形で黒褐色。 俗にアカシアの蜂蜜として売られているのはこの花の蜜で、すっきりとした甘さが特徴。また花を天ぷらにしたり、ホワイトリカーに漬けてアカシア酒とする。 刺のないものをトゲナシハリエンジュという。街路樹に多いエンジュはやや似ているが別属で、花期は7-8月、小葉の先はとがり、豆果はくびれる。花がないとイタチハギやクララとも似るが、イタチハギは小葉の裏面に腺点があり、クララは草本で小葉は7-20対と長い。 花期:5-6月 分布:帰化植物 撮影:2001.6.10 青森県八戸市 |
萼が赤みの強いもの。 2004.6.12 青森県車力村 花は芳香を放つ。 2018.5.2 東京都八王子市 小葉の先は僅かにへこむ。 2018.5.2 東京都八王子市 樹皮は縦に割れ目が入る。 2018.4.27 川崎市多摩区 |
イタチハギに戻る エンジュに戻る |
検索サイトからこのページへ直接お越しの場合は、 トップページへお回りいただきフレームを表示させてください。 |