イヌタヌキモ

イヌタヌキモ(タヌキモ科)[犬狸藻]

名は、タヌキモによく似ているが違うものだという意味。タヌキモの名は水中葉の形が狸の尾に似ていることからついたもの。環境省レッドリスト準絶滅危惧(NT)。

低地の池沼や水田の水面に浮遊する多年生の食虫植物。水上には花茎だけが出る。根はなく、茎はひも状で長さ50cm以上になる。茎の中心に気道はなく、呼吸枝もない。
水中葉は長さ3-5cmでまばらに互生して2-3回羽状に分裂し、各裂片は左右に平面に並び、糸状で基部近くに長さ3-4mmの捕虫嚢がつく。捕虫嚢の口に2本の感覚毛があり、内側に開く弁があって小動物を吸い込んで捕らえ、バクテリアの働きで溶かして吸収する。捕虫嚢は初め緑色だが、小動物を消化した後はそのかすで濃紫色になる。
葉腋から茎より太い長さ10-15cmの花茎を水上に出し、直径1cmほどの黄色い唇形花を総状につける。花柄に鱗片葉が数個ある。花は下唇が大きく横に広がり、中央の膨れた部分に赤褐色の斑紋があり、距は斜め下を向き、下唇より短く先がとがらない。萼は長さ3-4mmの広卵形で2深裂する。雄しべは4個でうち2個は退化萎縮する。花柄は花後に下向きになり、直径約4mmの球形の果実(蒴果)ができる。花柱は短く宿存する。
殖芽(越冬芽)は晩夏から枝軸に生じ、褐色で長さ0.4-1cmの長楕円形。

タヌキモは茎の中心に気道があり、花冠はイヌタヌキモよりやや大きい。晩秋に茎の先端に小さくなった水中葉が密に集まって丸くなり、暗緑色で直径1-2cmの球状の殖芽をつくる。果実はできない。ノタヌキモは殖芽をつくらず、花軸に鱗片葉がない。
花期:8-9月
分布:本・四・九
撮影:2006.8.20 秋田県大仙市
イヌタヌキモ-2
距の先はとがらない。 2010.8.29 青森県三沢市

イヌタヌキモ-3
花茎は茎より太い。 2006.8.20 秋田県大仙市


検索サイトからこのページへ直接お越しの場合は、 トップページへお回りいただきフレームを表示させてください。