カラタチ

カラタチ(ミカン科)[唐橘]

名は、唐から渡来した橘「唐橘」の略。別名キコク(枳殻)という。別名は中国北部産のミカン科の一種である「枳」の成熟した果実のことで、カラタチの果実を枳穀に誤用したことから。

中国中部原産で古い時代に朝鮮経由で薬用として渡来した落葉低木~小高木。ミカン属では唯一の落葉樹でよく分枝して横に広がり、高さ2m、大きいものは4-6mになる。暖地では一部野生化している。
樹皮は灰緑褐色で褐色の縦縞がある。枝は緑色、無毛で稜があり、長さ1-6cmの扁平で鋭い刺が互生する。
葉は本年枝に互生し、長さ5-10cmの3出複葉。頂小葉は他より大きく、は長さ3-6cm、幅1-2cmの長楕円形~倒卵形で縁に不揃いな低い鈍鋸歯があり、円頭で僅かに頂端がへこみ基部はくさび形。葉はやや厚く、表面は光沢があって油点があり、主脈に沿って短毛が生える。裏面は無毛。葉柄は長さ1-3cmで翼がある。
葉の展開前、前年の葉腋に直径3.5-5cmの香りのある白い花を単生する。萼片は5個で長さ5-6mmの狭長楕円形で先は円い。花弁は白色で5個、長さ1.5-2cmの倒披針形で開出し、花弁と花弁の間の隙間は広い。雄しべは約20個、花糸は長さ7mmで基部は太くなり無毛。花盤は高さ0.7mm、子房は8-10室。花柱は長さ1.4mm。
果実は直径3-5cmの球形のミカン状果で10月頃黄色に熟す。果皮は表面に細毛が生えて独特の臭気があり、苦くて種子が多く、食用不適。種子は長さ1-1.3cmの長楕円形。

刺が鋭いので生け垣として植えられ、柑橘類の台木として使用される。葉はアゲハチョウの食草。未熟な果実を輪切りにして乾燥したものを枳穀といって健胃薬にする。浴湯料としても用いる。
花期:4-5月
分布:帰化植物
撮影:2016.4.18 横浜市戸塚区
カラタチ-2
葉腋に花が1個つく。 2016.4.18 横浜市戸塚区

カラタチの花
萼片は長さ5-6mmの狭長楕円形。雄しべは20個ほど。 2016.4.18 横浜市戸塚区

カラタチの刺
刺は互生し、扁平で硬い。 2020.9.17 横浜市戸塚区

カラタチの葉
葉は3出複葉で頂小葉が大きい。葉柄に翼がある。 2020.9.17 横浜市戸塚区

カラタチの若い果実
若い果実。 2019.5.29 横浜市南区

カラタチの果実
果実は黄色に熟すが、苦くて種子が多く食用にならない。 2021.10.14 横浜市南区


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