キツリフネ(ツリフネソウ科)[黄釣舟] |
名はツリフネソウの仲間で黄色の花をつけることからついたもの。ツリフネの名は、細い柄にぶら下がる花の姿を帆をかけた船に見立てたとも、また釣舟(釣船形の花器)に見立てたともいわれる。花の形からホラガイソウ(法螺貝草)の別名がある。 庭で栽培されるホウセンカと同じ仲間。属名Impatiensは、「こらえきれない」、種小名noli-tangereは「触るな」という意味で、どちらも熟した果実にちょっと触れただけで勢いよく種を飛ばすことを表している。 渓流沿いなどの湿った木陰に生え、茎は軟らかく多汁質で、高さ50-80cmになる全体無毛の1年草。ツリフネソウと一緒に生えていることもあるが、より奥まった標高の高いところで、ツリフネソウのように水しぶきを浴びるほどではないやや日陰を好む傾向がある。 葉は柄があって互生し、長さ4-10cm、幅2-5cmの長楕円形~卵形で軟らかく、先端は鈍頭、縁に鈍鋸歯がある。 茎の上部の葉腋から出た細長い花柄に、1-5個の花がぶら下がってつく。花は葉に隠れるように咲き、淡黄色~黄色で長さ3-4cm、幅2cm。花弁は5個だが側方の大小2個がそれぞれ合着して3個に見える。合着した花弁は下に伸びて唇弁状となり、内側に赤褐色の斑紋がある。萼片は3個。下の1個は筒状で後部は細い距になって巻かずに下に垂れる。 距の中に蜜が入っていて、マルハナバチがこれを目当てに集まってくる。開花当初、開放花より先に蕾状の閉鎖花もよくつける。 果実は細長い蒴果で、熟すと果皮が裂開して巻き込み、種子をはじき飛ばす。 花が微黄色の品種をウスキツリフネ(ウスギツリフネ)といい、まれに見られる。花が赤いツリフネソウは距が渦を巻き、葉の先は鋭くとがる。 花期:6-9月 分布:北・本・四・九 撮影:2010.9.4 青森県八戸市 |
距は巻かずに垂れ、花弁には褐色の斑点がある。 2013.9.22 山形県鶴岡市 裂開前の蒴果。 2002.9.29 青森県八戸市 ツリフネソウの葉先はとがるが、キツリフネはとがらない。 2019.7.5 川崎市宮前区 |
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