コハコベ

コハコベ(ナデシコ科)[小繁縷・小蘩蔞・小蘩縷]

名は、在来のミドリハコベに比べて小型であることからついたもの。区別ぜずどちらも「ハコベ」とよぶことが多い。YListでもどちらも別名を「ハコベ」としている。

世界中に分布し、日本でもいたるところに生えるヨーロッパ原産の越年草。大正11年(1922年)に東京で気づかれた。茎も葉も軟らかく、茎は暗紫色を帯び、片側だけに1列に並ぶ短い軟毛があって、下部からよく枝を分けて地をはって横に広がり、茎の長さは30-50cmに達し、上部で立ち上がり高さ10-20cmになる。
葉は対生し、茎の下部のものには柄があるが上部のものにはなく、長さ1-2cm、幅0.6-1.5cmの広卵形~長卵形で全縁、基部は円形~広いくさび形、先は鋭尖頭~鋭頭、両面とも無毛。
枝先に集散花序をつくり、直径6-7mmの花をつける。苞は小型で葉状。萼片は5個、長さ3-4mmの狭長楕円形で先は鈍くとがり、外面に腺毛がある。花弁は白色で5個、基部近くまでV字状に2深裂し、萼より短いかまたは同長。雄しべは1-7個で3-5個のものが多い。花柱は3個。花が終わると花柄は下を向くが、果実が熟すと再び上を向く。
果実は長楕円形の蒴果で熟すと6裂して種子をこぼす。種子は黄褐色、直径1-1.2mmのやや扁平な腎円形で低いいぼ状突起がある。種子にエライオソームはない。

在来のミドリハコベは茎はふつう緑色で立ち上がる傾向が強く、葉がより大きく、雄しべは多めでふつう8-10個、種子は直径1.5mmでとがったいぼ状突起がある。
普通は葉の大きさや茎の色などのでおおむね見分けられるが、どちらともつかないような個体も多く、その場合は種子の突起を見るしかない。
小鳥やひよこにはご馳走なようで、日本だけでなく海外でも餌として利用されてきた(英名chickweed=ひよこの草)。
よく似ているウシハコベは全体に大きく、高さ20-50cmになり、雌しべの花柱が5個ある(ハコベは3個)ことで見分けることができる。
花期:3-9月(ほぼ1年中)
分布:日本全土
撮影:2017.4.10 神奈川県横須賀市
コハコベの花
雄しべの数は同定の決め手とはならないが、3個の雄しべが見えている。花弁は萼片より短い。 2017.4.10 神奈川県横須賀市

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