コナスビ

コナスビ(サクラソウ科)[小茄子]

ナスビといっても野菜のナスの仲間ではなく、園芸植物のリシマキアと同属のサクラソウ科の多年草で、果実がナスに似て小さいことからこの名がある。

幅広い環境に適応し、人里の庭や道端から、時には高山の登山道の傍らでも見かけることがある。背丈は3-10cmと小さく、他の草に埋もれて見逃してしまうことも多い。茎は軟毛が多く、根元近くで枝を分けて地をはって四方に広がり、地についた節から根を出し、先だけ斜めに立ち上がる。
葉は長さ0.5-1cmの柄があって対生し、長さ1-3cm、幅0.7-2cmの広卵形~卵形で全縁、先は短くとがり基部は円形、短毛がある。葉肉内にやや透明な腺点が多数ある。秋にはしばしば紅葉する。
葉腋から長さ0.3-1.8cmの花柄を出し、黄色の花を1-2個つける。萼は5深裂して裂片は線状披針形で先は鋭くとがり、透明な腺点がある。花冠は直径5-7mmで5深裂し、裂片は広卵形で平開する。雄しべは5個で花冠裂片と対生する。
果実はまばらに長軟毛が生えた直径4-5mmの球形の蒴果で、5深裂した萼に包まれたる。熟すと5片に裂け、多数の種子を散らす。種子は1稜のある長さ約1mmの楕円形。黒色で密にこぶ状突起がある。

コナスビのうち、花柄が6mm以上と長く、花後に下に曲がるものをナガエコナスビとして分けることがあるが、変化は連続的で明確に区別できない。屋久島に産し、葉が長さ3-7mmで花がやや大型のものをヒメコナスビという。帰化種のコバンコナスビは茎が長く伸び、花冠直径は1.5-2.5cmと大きい。
花期:5-7月
分布:日本全土
撮影:1999.6.6 青森県南郷村
コナスビ-2
茎は地をはって四方に広がる。 2006.6.3 秋田県仙北市

コナスビの花
花は5数性。 2020.5.9 横浜市南区

コナスビの茎と萼裂片
茎や花柄、萼の外面に軟毛が密生。萼裂片は線状披針形でとがる。 2020.5.9 横浜市南区

コナスビの葉
葉は広卵形で対生する。 2020.5.9 横浜市南区

コナスビの若い果実
若い果実。果実にも軟毛が生える。 2020.6.10 神奈川県大磯町

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