クスノキ(クスノキ科)[楠・樟] |
名の由来は諸説あり、クスシキキ(奇木)の意、クサノキ(臭の木)の意、クスノキ(薫の木、香の木)の意などの説がある。別名クス、ナンジャモンジャ。 暖地の山野に自生または野生化し、ふつう高さ20-30m、幹径2mほどになる常緑高木。兵庫、佐賀、熊本、鹿児島県の県木で、また佐賀県の県花。日本の広葉樹では最大級で、大きいものは高さ55m、幹径8mを超える。古くから神社や寺の境内に植えられ巨木となり、天然記念物となっているものも多い。街路樹や公園樹としても普通に植栽されている。かつて枝や葉から防虫剤となる樟脳を採取したため各地で野生化しているが、真の自生地は九州ではないかといわれている。材は耐久性が高く害虫に強いので、建築や家具、彫刻に用いられる。 樹皮は黄褐色~灰褐色で短冊状に縦に裂ける。若枝は緑色で無毛。冬芽は長卵形で先がとがり、赤褐色。 葉は薄い革質で表面に光沢があり、ちぎると樟脳の芳香がある。互生し、長さ5-12cm、幅3-6cmの卵形~楕円形で3脈が目立ち、その分岐点にダニが棲む膨らみ(ダニ室)がある。縁は全縁でゆるく波打ち、先はやや伸びてとがり、基部は広いくさび形。両面とも無毛で表面は緑色、裏面は灰緑色。葉柄は長さ1.5-3cm。春に新葉を出し古い葉は落ちる。新葉は紅色を帯び、その後明るい黄緑色になり花のように目立つ。 新葉の付け根から円錐花序を出し、直径5mmほどの黄白色の花を多数つける。花被は筒形で上部はふつう6裂し内側に毛がある。花被片は長さ1.5mmで花後に脱落し、杯形の筒部が残る。雄しべは9個で3個ずつ輪状につき、さらに一番内側に3個の仮雄しべがつく。葯は4室。雌しべは1個で花柱は細く、柱頭が盤状に肥大する。 果実は直径8-9mmの光沢がある球形の液果で、基部に残存した杯状の花被筒がつき、晩秋に紫黒色に熟す。2個ずつつくことが多い。 花期:5-6月 分布:本(関東地方南部以西)・四・九 撮影:2019.5.13 横浜市金沢区 |
一つの花は小さいが花期にはよく目立つ。 2014.5.10 横浜市金沢区 花被は6裂する。 2019.5.13 横浜市金沢区 葉の表面は光沢がある。 2019.11.6 横浜市中区 葉の裏面は灰緑色。 2019.11.6 横浜市中区 ダニ室(表面)。 2019.11.6 横浜市中区 裏面の傷口はダニ室の入口。 2019.11.6 横浜市中区 果実の基部に杯形の花被筒があるのがクスノキ属の特徴。 2018.11.7 横浜市中区 冬芽は長卵形で赤褐色。先はとがる。 2022.2.2 横浜市中区 独特の枝振りで大木になる。 2014.5.10 横浜市金沢区 樹皮は短冊状に縦に裂ける。 2018.2.6 横浜市南区 |
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