キョウチクトウ

キョウチクトウ(キョウチクトウ科)[夾竹桃]

名は漢名の「夾竹桃」を音読みしたもの。夾竹桃は葉が竹のように細く、花が桃に似ていることからついたもの。

インド原産で、江戸時代中期(享保9年[1724年]または寛政年間[1789-1801年]とも)に渡来したといわれている常緑低木~小高木。観賞用として庭木、街路樹、公園樹などとして植栽されるほか、公害に強いことから工場や高速道路の緑化に利用される。園芸品種も多数生み出されている。まれに逸出している。
根元から多数の幹を株立ち状によく分枝し、高さ3-6mになる。若枝は緑色で初め毛があり、後に暗褐色になる。
葉はふつう3個が輪生し、長さ7-30cm、幅1.5-2.5cmの線状披針形~狭長楕円形で全縁、基部はくさび形で先はとがる。厚い革質で無毛、濃緑色。主脈は明色で側脈が縁に向かって多数整然と並ぶ。葉柄は長さ0.5-1.5cm。
枝先に集散花序を出して、初夏から晩夏まで直径3-5cmの芳香のある花を多数つける。花色は淡紅色のほか、白色や紅色などがあり、八重咲き品種もある。花冠は高坏形で先は5裂して平開し、裂片はらせん状に重なる。花冠喉部に糸状に細裂した付属体がある。雄しべは5個で花筒上部につき、葯の先は長い毛状となり、互いに接して柱頭と合着し、基部には硬い刺状の付属体がある。萼は5裂し、裂片は長さ5-6mmの披針形で先はとがる。外面は花柄とともに短毛がある。
果実は長さ10-20cmの線形の袋果で直立する。日本では結実することはまれ。熟すと縦に裂けて種子を出す。種子は淡褐色の長毛を密生し、先に1-1.5cmの冠毛がある。
オレアンドリンやネリアンチン、アディネリンといった強心配糖体を含み、誤って口に入ると嘔吐や心臓麻痺を起こすおそれがある。古くから麻酔や強心剤として利用されたほか、古代インドでは堕胎や自殺に用いられたという。

明治時代初めに移入された地中海原産のセイヨウキョウトクトウは、花冠喉部の付属体が鋸歯縁のものをいうが、キョウチクトウと区別しない見解もある。
花期:6-9月
分布:帰化(園芸)植物
撮影:2002.6.24 埼玉県東松山市
キョウチクトウ-2
高さ3-6mになる。 2024.6.5 神奈川県鎌倉市

キョウチクトウ-3
花冠は5裂し、喉部に細裂した付属体がある。 2022.7.8 神奈川県鎌倉市

キョウチクトウ-4
淡紅色八重咲き品種。 2022.7.8 神奈川県鎌倉市

キョウチクトウ-5
白色品種。 2022.6.5 神奈川県鎌倉市

キョウチクトウの葉
葉は濃緑色でふつう3輪生する。 2024.6.5 神奈川県鎌倉市

キョウチクトウの葉-2
葉は細長く、明色の主脈が通り、多数の平行な側脈が縁に向かう。 2024.6.5 神奈川県鎌倉市


樹皮は滑らかで若木は円い皮目が多くある。 2024.6.5 神奈川県鎌倉市


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