マルバウスゴ

マルバウスゴ(ツツジ科)[円葉臼子]

名は葉が円みが強く、果実のへこんだ部分を臼にたとえたもの。直接的には広く分布するクロウスゴより葉が円いことからついたものだろう。別名ナンブクロウスゴという。シコクウスゴともいうが四国には分布せず、栗駒山北西部の剣岳(1397m)産の標本を四国の剣山(1955m)産と誤認したものといわれている。

亜高山帯~高山帯の高層湿原周辺の林縁や低木林内に生え、高さ0.3-1.2mになる落葉低木。
よく分枝し樹皮は黒褐色で、若い枝は無毛、栗色~緑色で鋭い4稜がある。
葉は無柄で互生し、長さ1.5-2.5cm、幅1-2.5cmの広卵形~卵円形で縁全体に細かい鋸歯があり、微突端で腺がある。脈は裏面に隆起する。両面無毛で裏面は淡緑白色。
葉の展開とほぼ同時に、本年枝の最上部の葉腋に紅色を帯びた淡黄緑色の花が1個ずつ下向きにつく。花冠は長さ5mmほどの扁平な壺形で、5浅裂して裂片は反り返る。花柄は長さ4-6mm。
果実は直径8mmの扁球形の液果。8-9月に粉白をまとった紫黒色に熟し先端は浅くくぼむ。液果は横~上向きにつくので先端のくぼみがよく見える。種子は長さ1mmの楕円形。液果は食べられるがそれほどおいしくはない。

クロウスゴとの区別は葉の円さだけでは難しいが、クロウスゴは葉の縁に鋸歯がなく若枝が赤い。葉が大きくて下半部に浅い鋸歯があるものをエゾクロウスゴ、花冠が極端に扁平なものをミヤマクロウスゴとしてして分ける考え方もあるが、YListではどちらもクロウスゴの別名扱いとしている。クロマメノキは枝に稜がないこと、液果の先がくぼまないことで区別する。
花期:6-7月
分布:本(中部地方以北の主に日本海側~秋田・岩手県)
撮影:2009.8.2 岩手県一関市
マルバウスゴの果実
果実は先が5角形状にくぼむが、これは6角形にくぼんでいる。上部に写っている葉に明瞭な鋸歯と裏面の顕著に浮き出た脈が見える。 2009.8.2 岩手県一関市

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