ミヤマシキミ

ミヤマシキミ(ミカン科)[深山樒]

名は、枝や葉がマツブサ科のシキミに似ていて山に生えることからついた。ミヤマといっても深山には生えず低山に多い。分布を関東地方以西とする図鑑が多いが、北限は岩手県一関市。

低山のやや暗い林内に生える雌雄異株の常緑低木で、茎は直立してまばらに枝を分け高さ0.5-1.5mになる。樹皮は灰色で若枝は緑色。
葉は無毛で枝先に集まって互生し、革質で表面は光沢があり透明な油点が散在して主脈が目立ち、裏面は黄緑色。葉をちぎると強い柑橘系の香りがする。長さ6-13cm、幅1.5-5cmの長楕円状披針形~倒披針形で先に鈍鋸歯があるほかは全縁、基部はくさび形で先はふつう鈍頭。葉柄は長さ2-8mmでやや赤みを帯びる。
枝先に長さ2-6cmの円錐花序を出し、香りのある直径0.5-1cmの白い花を雄花は密に、雌花はまばらにつける。花序の軸には短毛があり、苞は長さ1cmの卵形で宿存する。雄花は花柄2.5mm、萼片は4個、微毛があり長さ0.8mmの広3角形。花弁は4個、長さ4-5mmの長楕円形で透明な油点がある。雄しべも4個で直立し、花糸は長さ3mmで葯は黄色、退化した雌しべがある。雌花は退化した雄しべ(仮雄しべ)が4個、雌しべが1個。子房は球形で4室、花柱は長さ約1mmで柱頭は頭状で大きく、4-5浅裂する。
果実は有毒、直径0.8-1cmの球形の核果で12月~2月に光沢のある赤色に熟し、広卵形の核を4個含む。

葉や果実はスキミアニンというアルカロイドを含み有毒だが、民間薬として頭痛や目まいなどに利用され、また農業用殺虫剤に使われた。
淡紅色の花をつけるものをアケボノミヤマシキミ、葉脈が表面でへこみ裏面に突出するものをウチダシミヤマシキミという。
ツルシキミは多雪地に生え、高さ30-50cmで茎の下部が地をはう。リュウキュウミヤマシキミは九州と沖縄に分布し、高さ3mにもなって花も大きく、花弁の長さ6-7mm、核果は直径1-1.3cm。
花期:3-5月
分布:本(岩手県以南)・四・九
撮影:2018.3.30 東京都八王子市
ミヤマシキミの雄花
雄花。 2018.3.30 東京都八王子市

ミヤマシキミの雌花
雌花。 2018.4.10 東京都八王子市

ミヤマシキミの葉
葉は枝先に集まって互生し、革質で表面は光沢がある。 2022.6.10 横浜市南区

ミヤマシキミの果実
果実は上向きに赤く熟す。有毒。 2018.10.16 東京都八王子市

ツルシキミに戻る シキミに戻る


検索サイトからこのページへ直接お越しの場合は、 トップページへお回りいただきフレームを表示させてください。