ミズタマソウ(アカバナ科)[水玉草] |
名は白い毛が密生した果実を水玉に見立てたもの。 植物にはとかく無粋な名前が与えられることが多いが、これはきれいな名前をもらったものだと思う。薄暗い林下では小さな花は目立たず、果実も人目を引くものではないが、朝露をためて、まさに水玉となって輝くそれは小さな宝石のように美しい。白い毛が効率よく露を捕らえるのかもしれない(本来は動物にくっついて運ばれるようにするための仕掛けだろうが)。 見つけたときは、ぜひ逆光の状態で観察することをお勧めしたい。ミズタマソウと名付けた理由がよく分かるだろう。 山野の林内に生える多年草で、茎は下向きの細毛が生え、直立して高さ20-60cmになる。節は赤褐色を帯びる。 葉は対生し、長さ5-13cm、幅1.5-4cmの長卵形~卵状長楕円形で縁に低い鋸歯があり、基部はくさび形~円形で先はとがる。葉柄は長さ1-4cm。 茎の先や上部の葉腋から総状花序を出し、白色~淡紅色の花弁をもつ小さな花をつける。花序は無毛または細毛を散生する。花は直径3mmほど。珍しく2数性の花で、花弁は2個で倒卵形、先は2裂する。雄しべは2個で花弁と互生。萼裂片も2個あり、舟形で花弁の倍以上の長さがある。雌しべの柱頭は頭状。 果実は直径3-4mmの広倒卵形の堅果で4本の縦溝があり、かぎ状の白く曲がった毛が密生し、下を向く。堅果は2室で裂開せず、各室に1個の種子が入っている。 よく似たウシタキソウは葉の基部が心形。タニタデは茎はほぼ無毛、葉の基部は円形~切形。 ウシタキソウとの雑種をヒロハノミズタマソウといい、葉柄が長く葉が卵形で基部がやや心形になるもので、中部地方に産する。タニタデとの雑種はミズタマタニタデという。 花期:8-9月 分布:北・本・四・九 撮影:2004.8.29 青森県八戸市 |
果実にはカギ形に曲がった毛が密生する。 2016.9.12 神奈川県逗子市 萼片と花弁は2個で、花弁は先が2裂する。雄しべも2個。 2019.8.29 神奈川県小田原市 ウシタキソウと違って葉の基部はくぼまない。 2019.8.29 神奈川県小田原市 堅果は2室で裂開しない。 2020.10.5 神奈川県茅ヶ崎市 |
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