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ムラサキケマン(ケシ科)[紫華鬘] |
ケマン(華鬘)とは仏堂の飾りに使う仏具のこと。同属のケマンソウは花が華鬘に似ているのでその名があり、本種は紫色の花をつけることからついた名。別名ヤブケマンという。 人里~人里に近い丘陵地の少し日陰で湿ったところに普通に生え、高さ20-50cmになる越年草。茎は稜があり無毛で軟らかく、傷をつけると悪臭がある。同じキケマン属であってもオトメエンゴサクやヤマエンゴサク、ジロボウエンゴサクなどの「エンゴサク」のグループと違って、地下に塊茎をつくらない「ケマン」のグループの一つ。「ケマン」グループは越年草で「エンゴサク」グループよりずっと大きな花序があり、種子には発達したエライオソームをつける。 葉は長さ3-8cmの3角状卵円形、1-2回3出複葉で裂片はさらに深く切れ込む。根生葉には長い柄があり、茎葉にも柄がある。花がない時期、シャクだと思って間違って食べて中毒症状に陥る人がいるらしいが、シャクと違って悪臭があるので区別はつく。 茎の上部に長さ4-12cmの総状花序をつけ、4-20個の紅紫色の花を横~斜め下向きにつける。花冠は長さ1.2-2cmの筒状で先は唇形となる。花弁は4個で、外側の2個と内側の2個は形が異なる。外側の上弁の後方は距となる。内側の2個は先端が合着する。萼片は小さく、糸状に分裂する。花柄の基部の苞は扇状くさび形で欠刻がある。 果実は果柄の先に下向きに傾いて下垂し、長さ1.5-2cm、幅3-4mmの線状長楕円形の蒴果で緑色。熟すと2裂して果皮が巻き返り、光沢がある黒い種子をはじき飛ばす。種子にはエライオソームがつく。エライオソームはアリが好む物質を含み、アリを利用して種子を遠くまで運ばせている。 花弁の先端にだけ赤紫色の斑紋がある白花品をシロヤブケマンといい、花弁全体が純白のものをユキヤブケマンという。 ![]() ![]() ![]() ![]() |
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