ナンテン

ナンテン(メギ科)[南天]

名は、漢名の南天竹の「竹」が脱落してそれを音読みしたもの。

暖地の山地の林内や岩場に生える常緑低木で高さ1-3mになるが、本来の野生なのかどうか分かっておらず、中国から渡来したものともいわれる。実が美しいことや「難を転じる」に通じることから縁起物とされ、昔から庭木として栽培されて正月飾りにされるほか、葉は重箱の赤飯に載せる習わしがある。
果実が白いシロミナンテン、淡紫色のフジナンテン、シナナンテン、ウルミナンテン、オタフクナンテンなど多くの園芸品種がある。
幹は叢生するがほとんど分枝せず、樹皮は褐色で縦の溝がある。材は黄色。
葉は茎の上部に集まって互生し、長さ30-80cmの3回羽状複葉。葉柄基部は広く茎を抱き、托葉はない。小葉は薄めの革質、表面は濃緑色でやや光沢があり、裏面は淡緑色、長さ3-7cm、幅1-2.5cmの広披針形~披針形で全縁、基部はくさび形で先は鋭くとがる。両面ともほぼ無毛だが両面主脈に僅かに毛がある。日当たりのよいところにあるものは晩秋に紅葉するものがある。
枝先に大型の円錐花序を出し、長さ6mmの白い花を多数つける。花弁と萼片の区別は不明で、花被片は3個ずつ輪状に多数互生して並び、内側のものほど大きくなって最も内側の6個が花弁状になる。内側の花弁状の花被片が開くときに外側の花被片が全て脱落する。雄しべは6個で長さ約5mm、花糸は短く葯は黄色で側面で縦に裂ける。子房は上位、雌しべは1個。
果実は直径6-7mmの光沢のある球形の液果で10-11月に赤く熟し、2種子を含む。種子は直径5-6mmのほぼ球形。

果実はアルカロイドを含み有毒だが、干したものは南天実(なんてんじつ)といい、咳止め、喘息に、葉は南天葉(なんてんよう)といい、うがい薬や強壮薬として用いられる。
花期:5-6月
分布:本(茨城県以西)・四・九
撮影:2016.6.10 神奈川県横須賀市
ナンテンの花
花被片は内側の6個が開くと外側のものは全て落ちる。 2016.6.10 神奈川県横須賀市

ナンテンの葉
葉は3回羽状複葉。 2018.11.8 神奈川県大磯町

ナンテンの葉-2
日当たりのよいところにあるものは晩秋に紅葉するものがある。 2022.1.14 横浜市戸塚区

ナンテンの若い果実
若い果実。 2021.10.14 神奈川県大和市

ナンテンの果実
果実は赤熟し、鳥によって被食散布される。 2019.1.22 神奈川県大磯町

イイギリに戻る ナンテンハギに戻る ヒイラギナンテンに戻る


検索サイトからこのページへ直接お越しの場合は、 トップページへお回りいただきフレームを表示させてください。