オナモミ(キク科)[雄菜揉み] |
名はメナモミに対してついたといい、ナモミは引っかかることからナゴミ→ナモミに転訛したという説がある。また一説には、古代の強壮薬をつくるときに葉や実をもんで出た汁を加えてつくったことから「菜もみ」となったとも。その他異説もある。東北地方北部では「どろぼう」とよぶところが多い。なお、秋田県男鹿のなまはげの語源と考えられているなもみ剥ぎ(炉から離れない怠け者にできる火だこをなもみといい、懲らしめるためにそれを剥がすこと)も何かつながりがあるように思えてならない。 帰化種のオオオナモミやイガオナモミと同じ仲間だが、日本で見られる唯一の在来種。とはいっても古い時代にユーラシア大陸から入って来たと考えられている、いわゆる史前帰化植物。子供の頃に遊び仲間の服にこのいがいがの果苞を投げつけ、くっつけて遊んだ思い出を持つ人は多いと思う。近頃は帰化種が幅を利かせ、めったに見られなくなってしまったが東北地方ではまだよく見かける。環境省レッドリスト絶滅危惧Ⅱ類(VU)。 道端や空き地に生え、高さ0.5-1.5mになる1年草。海岸にもよく生えており、茎は淡緑色で短毛が生え、黒紫色の斑紋がある。 葉は長さ3.5-10cmの柄があって互生し、長さ6-15cmの卵状3角形で3-5浅裂し、不揃いな粗くとがった鋸歯があり、基部は心形~切形、質はやや厚く両面に短い剛毛があってざらつく。 雌雄同株の風媒花で、葉腋から短い花序を出し、枝先に球形の雄頭花がつき、雌頭花は雄頭花の下の葉腋につく。雄花は黄白色、雌花は淡緑色。雄花の花糸は筒状に合着、葯は離生する。雌花の総苞片の外側の1列は小さく開出し、内側のものは合着して肥大した果苞(壺状体)をつくり、内に2個の痩果を包む。果苞は楕円形でややまばらにつき、表面にややまばらな長さ1-2mmの軟らかいかぎ状の刺と2個の嘴が先にあり、刺や嘴を含めて長さ0.8-1.8cm、幅6-8mm。果苞の表面は光沢がなく、多細胞の立毛が多く、少数の腺毛が混じる。熟すと黄緑色~灰褐色になる。 (似た種類との違いはイガオナモミに記載。) 漢方では果苞を蒼耳子(そうじし)といい、煎じて解熱、発汗、頭痛、動脈硬化の予防に用いる。民間療法としては、茎や葉をもんで貼るか葉汁を塗布して、湿疹、虫刺され、疥癬に用いる。 花期:8-10月 分布:日本全土 撮影:2004.8.29 青森県八戸市 |
果苞(壺状体)は雌花の総苞が肥大したもの。刺は少ない。 2004.8.29 青森県八戸市 雄花序は球形。2013.8.17 青森県東通村 |
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