オオシマザクラ

オオシマザクラ(バラ科)[大島桜]

名は、伊豆大島に生えることからついたもの。
房総~伊豆半島の沿海地に自生のように生えているものは、樹勢が強いことからかつて薪炭材として植林されたものだが、今では何の違和感もない。横須賀市や下田市では「市の木」に指定している。ちなみに伊豆大島の大島町では町の木には指定しておらず、観光的にも重要なツバキのほうを「町の花・木」としている。

沿海地の丘陵地や低山に生え、高さ8-15mになる落葉高木。樹皮は紫黒色~灰紫色で光沢があり、横長の濃褐色の皮目が目立つ。
葉は互生し、質は厚く両面とも無毛で光沢があり、裏面は淡緑色。長さ9-15cm、幅5-8cmの倒卵状長楕円形で基部は円形~切形で先は尾状に鋭くとがり、縁に重鋸歯があり先が芒状にとがる。葉柄は長さ2-4cmで無毛、上部に2個の蜜腺がある。
前年枝の葉腋に直径3-4.5cmでほぼ白色の花が3-4個散房状につき、新葉の展開の直前か同時に開花し芳香がある。花弁は5個、長さ1.5cmほどの広楕円形で先が2裂し平開する。雄しべは多数で雌しべは1個。萼は無毛。萼筒は長さ7-8mmの長鐘形。萼裂片は長さ6-7mmの披針形で縁に鋸歯がある。花柄は長さ2-4cmで無毛。苞は倒卵形で上半部に鋸歯がある。
果実は直径1.2cmほどの球形~楕円形で5-6月に紫黒色に熟す。核は扁平な楕円形。

葉にクマリンの甘い香りがあるので、若い葉を塩漬けにしたものを桜餅を包むのに用いる。
オオシマザクラは多くの栽培品種の交配に利用され、本種を親とした栽培品種を総称してサトザクラとよんでいる。ソメイヨシノは、本種とエドヒガンの交雑種。
カスミザクラは花期が4-5月とオオシマザクラより遅く、花は小さく直径2-3cm。枝も細い。萼筒や花柄に開出毛があり萼裂片に鋸歯はない。ヤマザクラと葉形は似ているがヤマザクラには芒状の鋸歯はない。若葉は赤味を帯びる。
花期:3-4月
分布:伊豆諸島
撮影:2016.4.6 神奈川県逗子市
オオシマザクラ-2
公園に植栽されたもの。自生状に生えているものはかつて薪炭用に植林されたものが多い。 2020.3.31 横浜市中区

オオシマザクラの花
花はほぼ白色。ときに淡紅色を帯びる。 2024.4.10 神奈川県茅ヶ崎市

オオシマザクラの萼
萼裂片に細鋸歯がある。 2024.4.10 神奈川県茅ヶ崎市

オオシマザクラの葉
葉の縁に先が芒状になる鋸歯がある。 2016.4.20 神奈川県三浦市

オオシマザクラの果実
果実は赤色から後に紫黒色に熟す。 2016.5.12 神奈川県横須賀市

オオシマザクラの果実-2
熟した果実。 2022.6.1 神奈川県横須賀市

オオシマザクラの樹皮
樹皮は光沢があり、横長の皮目が目立つ。 2014.9.14 横浜市中区


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