オオシラビソ(マツ科)[大白檜曽] |
名はシラビソより球果が大きいことによる。青森県の八甲田山に多いので別名アオモリトドマツという。シラビソのヒソ(檜曾)とは、もともとは屋根材などに使うヒノキの丸太や板材のことだが、シラビソがその代わりに使われるようになり、それがヒノキに比べて肌が白いことからシラビソと称されるようになったという。(出典「植物和名の語源」深津正) 多雪地の亜高山帯に生える雌雄同株の常緑針葉高木で、幹は直立し高さ10-25m、大きいものは高さ40m、直径1mになる。日本特産種。純林またはコメツガ、シラビソ、ダケカンバなどと混生林をつくる。森林限界付近や風衝地では2-3mの低木になり、片側のみに枝が出ていることも多い。樹冠は円錐形で、多雪地では枝が垂れ下がる。樹皮はやや青みがかった灰白色で滑らか。濡れると紫色を帯びる。老木では粗く裂ける。本年枝には濃赤褐色の短毛が密生する。 葉はらせん状にびっしり密生して枝が見えず、長さ1-2cm、幅2.5mmの扁平な倒披針状線形で光沢があり、先に向かって幅広になる。裏面中脈の両側に幅の広い白色の気孔帯がある。先は鈍頭またはややへこむ。 雄花は楕円形の穂状で黄褐色、前年枝の葉腋から多数下垂する。雌花は青紫色で直立する。 球果は長さ5-10cm、直径3-6cmの楕円形で濃青紫色。多数の種鱗からなり、種鱗の内側に大きな翼を持った種子、外側に先のとがった苞鱗を生じる。苞鱗は短く、種鱗のほぼ半長で種鱗の縁から突き出ることはない。開花した年の9-10月に成熟すると、苞鱗と種鱗は中軸からはずれ、ばらばらになって落ちる。種子は長さ0.6-1cmの倒卵状3角形で淡褐色、種子より少し長い翼がある。 材は光沢があって美しく弾力性があり、建築材や器具材、パルプなどに利用される。 よく似たシラビソは福島県~和歌山県に分布する。濡れても紫色を帯びない。 花期:5-6月 分布:本(中部・北部) 撮影:2018.7.2 長野県小谷村 |
樹冠は円錐形で、多雪地では枝が垂れ下がる。 2018.7.2 長野県小谷村 八幡平の夜池と湿原を囲むオオシラビソの黒い森。 2009.10.10 岩手県八幡平市 |
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