オサバグサ(ケシ科)[筬葉草] |
名は、葉が機を織るときに縦糸を揃えるための筬(おさ)の形に似ていることからついたもの。種小名のracemosumは「総状花序の」の意。 亜高山帯の薄暗い針葉樹林の林床に群落をつくる常緑の多年草。限られた産地に生える日本の本州特産で1属1種の植物。生育地では群生しているが、分布地は少なく、点在している。北限は青森県で下北半島にも津軽半島にもある。 短く、太い根茎を伸ばして広がり、ひげ根を出す。地上に茎はない。他のケシ科植物と異なり、植物体から白色や黄色い乳汁を出さず、姿もケシ科には見えない。 葉は全て根茎から根生し、長さ10-20cm、幅2.5-3cmの広倒披針形で櫛の歯状に羽状全裂し、葉先は円く基部は次第に狭くなって短い柄となる。裂片は10-25対あり、幅3mmの線状長楕円形で先は円い。表面にはまばらに粗い毛がある。その形はシダ植物のシシガシラやオサシダとそっくりで、花がないとそれと気づかないことが多い。 根茎から長さ15-25cmの花茎を伸ばし、長さ5-15cmの総状花序に鐘形で白花の4弁花をまばらに下向きにつける。花茎には葉がつかない。花柄は細く、長さは1-1.5cm。一見合弁花に見えるが、長さ4-6mmの長楕円形の花弁からなる離弁花。萼片は2個、長さ1mmほどの広卵形で開花すると脱落する。雄しべは4個が離生し、花弁と互生した位置につく。子房は上位で1室、花柱は糸状で柱頭は2深裂する。 果実は長さ3mmほどの倒卵状球形の蒴果で熟すと2裂する。種子は2個入っている。 花期:6-8月 分布:本(中部地方以北) 撮影:2001.6.16 岩手県大迫町 |
葉はオサシダやシシガシラの葉とそっくり。 2006.7.29 福島県南会津町 総状花序に鐘形で白花の花をまばらに下向きにつける。一見合弁花に見えるが、長楕円形の4花弁からなる離弁花。 2023.4.11 神奈川県箱根町(植栽) 葉の裂片の先は円く、数個の鋸歯がある。 2023.4.11 神奈川県箱根町 |
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