サナギイチゴ(バラ科)[猿投苺] |
名は、愛知県の豊田市と瀬戸市にまたがる猿投山で採集されたことからサナゲイチゴとよばれたのが転訛したもの。第4次レッドリストで新たに絶滅危惧Ⅱ類(VU)に加えられた。 山地の林縁や林内にややまれに生える落葉小低木で、枝はつる状に細く地をはって横に伸び、地に接するとそこから発根して殖える。刺はまばらで、初め軟毛があるが後に無毛となる。 葉は互生し、長さ5-15cmの奇数羽状複葉で小葉は2-3対あり、側小葉は卵形~楕円形、頂小葉は長さ3-7cm、幅1-3cmの菱形状卵形で先は細長く伸び、ときに3裂するものがある。葉の形は変異があり、頂小葉が細く伸びないものも見られる。質は薄く、欠刻状の重鋸歯がある。裏面主脈と葉軸には小さな刺がある。托葉は長さ4-8mmの糸状。 短枝の先に直径2cmほどの白~淡紅色の花を1-3個横~斜め上向きにつける。花弁は倒卵状へら形で5個。萼片は先は鋭くとがり、外側に針状の刺と腺毛、内側に伏毛が密生する。 初夏に直径約1.2cmの赤く球形の集合果をつけ、後に黒くなる。 枝が横に広がり、花柄が長く立ち上がるものをナンブサナギイチゴといい、北上山地の太平洋側に産するが、変異が連続的で分けることは困難。YListにも記載はない。なお、平成25年(2013年)に、ナワシロイチゴとの自然交雑種と思われるものが青森県六戸町で見つかり、ミチノクサナギイチゴとよばれている。 花期:5-6月 分布:本・四・九 撮影:2005.5.29 岩手県山形村 |
花弁は白色~淡紅色。萼片の先は鋭くとがる。 2013.5.19 岩手県二戸市 萼片の外側に刺と腺毛が生える。葉は羽状複葉で小葉に重鋸歯がある。葉柄にもまばらに刺がある。 2005.5.29 岩手県山形村 |
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