タマスダレ(ヒガンバナ科)[玉簾・珠簾] |
名は、白く美しい花を玉に、葉姿をすだれにたとえたもの。 明治時代初期に渡来した南アメリカ原産で暖地では常緑となる多年草で、属名のゼフィランサスの名で観賞用に栽培されている。しばしば逸出して日当たりのよい道端や空き地などで野生化しており、近年見かけることが多くなっている。 地下に直径2-3cmの球形の鱗茎があり、分球して殖える。全草、特に鱗茎にリコリンというアルカロイドを含む有毒植物で、ノビルと間違って酢味噌で食べて中毒になった例がある。 秋から冬にかけて濃緑色の根生葉を直立し、暖地ではそのまま越冬する。葉は長さ30-40cm、幅3-5mmの線形で先は円くやや多肉質。 夏から秋に高さ10-30cmの円筒状の花茎を1-3個伸ばし、直径4-5cmの白色花を1個上向きに咲かせる。朝開いて夕方に閉じ、2-3日の間これを繰り返す。花の下に膜質鞘状の総苞があり、先は2裂する。花被片は白色、長さ約4cmの長楕円形で6個(内花被片、外花被片それぞれ3個で同形)、基部は緑色を帯びる。雄しべは6個で葯は黄色、花糸は黄緑色。子房は下位で3室、雌しべは1個で柱頭は3裂する。花柱は雄しべを嫌うかのように、雄しべの輪の外側に伸びる。 果実は長さ1.2-1.5cmのカマキリの頭に似た蒴果で、熟すと3裂して黒色の種子を出す。 同属で淡紅色の花をつけるサフランモドキも人家周辺や田のあぜなどに野生化している。 花期:8-10月 分布:帰化植物 撮影:2017.8.21 神奈川県三浦市 |
花被片、雄しべは6個。花の下に膜質の総苞がある。 2017.8.21 神奈川県三浦市 白色の雌しべは雄しべの外側に伸びる。 2019.10.28 横浜市金沢区 若い果実はカマキリの頭に似る。 2019.10.28 横浜市金沢区 種子は黒色。 2019.10.28 横浜市金沢区 |
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