タチヤナギ

タチヤナギ(ヤナギ科)[立柳]

名は幹や枝が上にまっすぐ伸びることからついたもの。自生とは別に護岸用に川岸に植栽されることもある。材はマッチの軸木や図板、裁板などに用いた。

日当たりのよい湿地や河川の中下流域の岸辺に普通に生える雌雄異株の落葉大低木~小高木。基部から雑然と株立ち状に伸び、高さ2-8mになる。樹皮は灰褐色で、縦に割れずに不規則な薄片状にひび割れて剥がれる。裸材に隆起条はない。若枝は灰褐色~淡黄褐色で密に出て直立する。冬芽は1個の帽子状の鱗片に被われる、
葉は互生し、長さ7-10cm、幅1.5-3cmの披針形~長楕円状披針形で縁に細鋸歯があり、先は腺に終わる。先はとがり、基部はくさび形。葉の最大幅は中央付近で側脈は16-18本。両面とも無毛で裏面は淡白緑色。葉柄は長さ0.5-1.5cmで無毛。若葉は中央部が赤褐色を帯び、縁は裏側に巻かない。托葉は腎臓形。
葉と同時に有柄で長さ3-6cm、直径0.8-1cmの尾状花序をつける。花序の軸と苞の外側には長い軟毛が密生する。花被はなく、雄花の苞は淡黄緑色で狭倒卵形。ほかのヤナギと違って3個の雄しべがあるのが特徴で、葯は黄色、花糸は離生し、下部に長軟毛がある。基部に黄緑色の腺体が2個ある。雌花の腺体は黄色で1個。子房は無毛で緑色。柱頭は2裂する。
果実は蒴果で2裂し、白い綿毛に包まれた多数の種子を出す。種子は長さ0.8mmの線状長楕円形。

ヤナギ類は雑種をつくるものが多いが、タチヤナギは今のところ雑種と思われるものは見つかっていない。よく似たジャヤナギは高木で、雌株だけが知られる。葉裏は粉白色。葉の最大幅は基部寄りにある。
花期:3-6月
分布:日本全土
撮影:2020.3.11 神奈川県藤沢市
タチヤナギの雄花序
花の下に3-6個の小さな葉をつける。 2019.3.28 神奈川県横須賀市

タチヤナギの雄花
雄花序は長さ3-6cm。雄しべは3個で葯は黄色。 2019.3.28 神奈川県横須賀市

タチヤナギの雌花序
雌花序花は長さ3cmほど。雌花の子房は緑色。 2020.3.11 神奈川県藤沢市

タチヤナギの雌花
子房は卵状楕円形で緑色、柱頭は2裂。 2020.3.11 神奈川県藤沢市

タチヤナギの葉
葉の最大幅は中央部付近。 2019.6.14 神奈川県藤沢市

タチヤナギの葉-2
葉裏は淡白緑色。 2019.6.14 神奈川県藤沢市

タチヤナギの樹皮
樹皮は灰褐色で縦に割れずに不規則な薄片状に剥がれる。 2019.6.14 神奈川県藤沢市


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