トキホコリ

トキホコリ(イラクサ科)[時繁]

牧野富太郎によると、名のトキは「時々」、ホコリは「はびこる」の意。
絶滅危惧植物図鑑レッドデータプランツ[山と溪谷社]では、「もともとは河原の葦原などに生え、夏の洪水の攪乱によって発芽し、秋に花を咲かせる生活史をもっている」ものだと解説している。しかし、そのような環境が護岸工事などで激減し、現在では環境省レッドリスト絶滅危惧Ⅱ類(VU)指定。
軟らかく無毒なので食べられ、自生地では群生することもあるが、絶滅危惧種なので採取は不可。

低地の湿った林縁や湿地、溝付近などに生える雌雄同株の1年草。茎は開出毛があり円柱形で斜上し、高さ10-20cmになる。茎の節は秋に膨らまない。
葉は無柄で2列に互生し、長さ3-6cm、幅1-3cmの左右非相称の長楕円形で中部以上に5-6個の粗い鋸歯があり、鈍頭まれに鋭頭、先はウワバミソウのように尾状にならない。質は軟らかく裏面脈上に短毛がある。
葉腋に淡緑色で球状に集まった無柄の花序を出す。総苞の縁に剛毛がある。雄花と雌花は混生し、雄花は有柄で花被片4個、雄しべ4個。雌花は花被片は3-5個。
痩果は長さ約0.7mmの広披針形で縦に筋があり、凸点はない。

ヤマトキホコリは多年草で茎はほぼ無毛、葉は鋭頭。ときに有柄の雄花序を出す。ウワバミソウは葉先が長く尾状に伸びてとがる。花は4-6月。秋に節が膨れる。
花期:9-10月
分布:北(西南部)・本(中部地方以北)
撮影:2021.10.7 川崎市多摩区
トキホコリ-2
湿ったところに生え、茎は斜めに伸びる。 2021.10.7 川崎市多摩区

トキホコリの葉
葉は左右非相称。先は尾状に伸びない。 2021.10.7 川崎市多摩区

トキホコリの葉-2
脈は裏面に突出する。 2021.10.7 川崎市多摩区

トキホコリの花序
秋、葉腋に球状の花序をつける。 2021.10.7 川崎市多摩区

トキホコリの花序-2
花序は雄花と雌花が混生する。茶色のものは痩果か。 2021.10.7 川崎市多摩区

トキホコリの茎
茎はみずみずしく、開出毛が生える。 2021.10.7 川崎市多摩区

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