トウゴクサバノオ

トウゴクサバノオ(キンポウゲ科)[東国鯖の尾]

名は、サバノオが九州に、サイコクサバノオが四国や近畿地方に生えるのに対して、より東部にも生えることからついたもの。サバノオの名は、熟した果実の形がサバの尻尾に似ていることから。
長い間、本州では宮城県以南に分布するものとされていたが、2002年頃に岩手県大船渡市で見つかり、現在ではそこが北限地とされている。

山地の沢沿いの湿った林内や林縁に生え、茎は4稜があって直立し、高さ10-20cmになる全体無毛の多年草。根茎は発達せず走出枝も出さない。
根生葉は基部に数個つき、長い柄を含めて長さ4-14cm、葉柄の基部は広く厚くなる。葉は複葉で小葉は3-5個。頂小葉は広卵形~倒卵形でしばしば3中裂し鈍い鋸歯がある。側小葉は2小葉からなり卵形~扁卵形で鈍い鋸歯がある。茎葉は中部より上に対生し、短柄があって3-5小葉からなり、長さ1.2-2.5cm。托葉は合生する。
花柄は長さ1.5-2.5cm。花は直径6-8mmで、全開せず横向き~やや下向きに咲く。淡黄白色~白色で5個の花弁のように見えるのは萼片で、長さ5-7mmの楕円形~長楕円形で外面は紫色を帯びる。内側の5個の黄色い部分が花弁。花弁は雄しべが変化したもので長い柄があり、舷部は軍配形で直立し、先は少し内曲する。雄しべは多数。雌しべは2個で基部で僅かに合着する。夏に株元に蕾のような閉鎖花をつける。
果実は2個の袋果が基部で合着し、魚の尾のような形となる。長さ8-9mm、幅2mm、花柱は細く、長さ1-1.5mm。種子は直径約1mmの球形で褐色、密に小突起がある。
花期:4-5月
分布:本(岩手県南部以南)・四・九
撮影:2019.4.18 相模原市緑区
トウゴクサバノオ-2
2004.5.6 群馬県富士見村

トウゴクサバノオ-3
2004.5.7 群馬県黒保根村

トウゴクサバノオの花
黄色い軍配形の花弁。 2019.4.18 相模原市緑区

トウゴクサバノオの果実
名の基になった果実。ほぼ水平に開く。 2018.4.26 東京都八王子市


検索サイトからこのページへ直接お越しの場合は、 トップページへお回りいただきフレームを表示させてください。