ウラシマソウ(サトイモ科)[浦島草] |
名は、付属体の先が糸状に伸びた様を浦島太郎の釣糸に見立てたもの。 海岸近くの平地から低山の湿った照葉樹林の林縁や林下などにやや普通に生え、高さ20-60cmになる雌雄異株の多年草。球茎は扁球形で周りに多数の子球をつけて栄養繁殖する。偽茎は葉柄より短い。 葉はふつう1個、ときに2個で鳥足状に11-17個の小葉をつける。小葉は深緑色で裏面は光沢があり、長さ10-25cm、幅2-4cmの狭倒卵形~長楕円形で中央の小葉が最も大きく、全縁で大きく波打ち、先がとがる。葉柄は茎状で太い円柱形、長さは40-50cm。 葉柄の基部から葉より下の位置に花茎を伸ばす。仏炎苞は長さ10-18cm、暗紫色で白条があり、筒部は白色を帯びて淡紫褐色。口辺部はやや開出する。舷部は3角状の卵形~広卵形で長鋭尖頭。肉穂花序の上端の付属体は下部で膨らみ、次第に細くなって先は長く40-60cmの糸状になり、全体に平滑で暗紫色、下部は紫褐色。雄花は花序にまばらにつき、花粉を出す。雌花は花序に密につき、子房と柱頭が露出している。 多くは雄株なので、晩秋に果実をつけるものは思いのほか少ない。果実はトウモロコシ状の果序につき、卵球形の液果で熟すと朱赤色になり、少数の種子がある。種子はほぼ球形で乳褐色。 近畿地方以西・四国・九州に生えるナンゴクウラシマソウは、付属体下部の太い部分が淡黄白色で多数の小じわがあり、ときに角状の突起がつくもの。 この仲間(テンナンショウ属)は地下に球茎があり、それが十分に育つまでは雄株として花粉をつくって育ち、実をつける体力がつくと雌株に性転換する一風変わった植物。実を結び体力を消耗した雌株には、翌年また雄株に戻るものがあるらしい。サポニンを含み、食べると嘔吐や腹痛を起こす有毒植物であるが、昔は飢饉のときに毒をさらして食用にしたといい、薬用としても利用されてきた。 花期:3-6月 分布:北(南部)・本・四・九(佐賀県) 撮影:2008.4.30 東京都八王子市 |
2018.3.14 神奈川県平塚市 まだ仏炎苞が開いていない。 2016.3.25 神奈川県横須賀市 仏炎苞は暗紫色。 2019.3.28 神奈川県横須賀市 葉はふつう1個で鳥足状に11-17個小葉をつける。中央の小葉が最も大きく、全縁で大きく波打つ。 2016.3.25 神奈川県横須賀市 |
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