ワダン

ワダン(キク科)[海菜]

名の由来は不明だが、葉がキャベツのように見え、海菜(わだつみな・わたな)とよんでいたものが転訛したという説がある。実際に食用にされていたともいわれるが、かなり苦みが強い。

海岸の崖地に生える半低木で、主幹は太くて短く、先端にロゼット状に根生葉をつけ、大きく生長すると葉腋から側枝を出して花をつけ、結実すると枯死する。茎や葉をちぎると粘る白い乳液が出る。根は太く地中に垂直に伸びる。
根生葉は厚くて軟らかく、長さ8-20cm、幅4-7cmの倒卵状楕円形、両面無毛で裏面は粉白を帯び、先は円い。花時には枯れている。根生葉の葉腋から斜上する側枝を放射状に出し、高さ30-60cmになる。側枝の上部に長さ5.5-8.5cmの倒卵形の葉を密に互生する。
側枝の先端に直径1-1.5cmの黄色の頭花を複散房状に多数つけ、少しずつ時期をずらして咲いていく。頭花は筒状花はなく舌状花のみからなり、舌状花は5個で先は5歯がある。雄しべは5個、総苞は淡緑色で総苞片は2列、内片は5個。
痩果はやや扁平な長さ2-3mmの狭楕円形で10肋がある。冠毛は白色の剛毛状。

ヤクシソウとワダンの雑種がまれに見られ、ヤクシワダンとよばれている。なお、ヤクシソウは長い間オニタビラコ属とされてきたが、分子系統解析の成果でワダンと同じアゼトウナ属に移され、ヤクシワダンは疑問の多かった属間雑種の状態から脱して種間雑種となった。
西日本に生えるホソバワダンは茎が長く伸びて倒れ、葉や舌状花が細長い。沖縄県ではニガナの名で食用とされる。アゼトウナは伊豆半島以西に生え、葉が小さく長さ5cmほど。
花期:9-11月
分布:本州(千葉県~神奈川県・伊豆諸島)
撮影:2019.10.10 神奈川県横須賀市
ワダンの花
花は5個の舌状花のみからなる。 2018.9.28 神奈川県三浦市

ワダンの若葉
若葉はキャベツに似ていておいしそうだが、苦いし希少。 2019.3.28 神奈川県三浦市

ワダンの葉の裏面
葉の裏面は粉白色。 2019.7.25 神奈川県三浦市

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