ヤマアイ(トウダイグサ科)[山藍] |
青色の染料植物であるアイに似ていて山地に生えることからこの名がある。 山地の樹林下に群生し、茎は直立し高さ30-40cmになる雌雄異株の多年草。分布北限は青森県。根茎は白色でまばらに分枝し、乾くと紫色になる。 葉はつやがあって対生し、長さ7-12cm、幅2.5-5cmの長楕円状披針形~卵状披針形で先はとがり縁に鋸歯がある。葉柄は長く、基部に披針状の小さな托葉がある。 葉腋から細長い花柄を出し、淡黄緑色の小さな花をつける。雄花は花被が3裂し、雄しべが15-20個花床の中心に束生する。仮雄しべはなく、花糸は離生する。雌花は花盤は2裂し、裂片は線状披針形で心皮と互生する。 果実は亜鈴形の蒴果で外面に突起があり、2個の小球形の殻片に裂開する。種子は球形。 以前は静岡県以西に分布するものとされていたが、神奈川県では平成7年(1995年)に観音崎公園内で初めて記録された。この葉山町のものは多くのハイカーが通る道沿いの両側にあったもので、いつからそこに生育しているのかは定かではないが、気がつかないはずのない場所である。本来の野生か栽培品の逸出かよく分からないが、今では県内数か所で群生している状態で見られる。 青藍をとるアイ(タデ科)やリュウキュウアイ(キツネノマゴ科)と混同されるが、本種の色素はシアノヘルミジンで青藍(インジゴチン)を含まないので浸染の方法で染めても緑色に染まる。明治初期に鹿児島地方でリュウキュウアイをヤマアイと呼んでいたことがこの混同の原因といわれている。もっとも、現在でも皇室の新嘗祭に用いる小忌衣(おみごろも)の染色には、京都石清水八幡宮境内で採取されたヤマアイを使用しているという。 花期:3-4月 分布:本・四・九・沖 撮影:2017.3.3 神奈川県葉山町 |
2010.3.12 東京都文京区 雄花。15-20個の雄しべを花床の中心に束生する。 2017.3.3 神奈川県葉山町 葉はつやがあって縁に鋸歯がある。 2020.3.6 神奈川県葉山町 葉の基部に小さな托葉がある。 2017.3.3 神奈川県逗子市 |
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