ユズリハ

ユズリハ(ユズリハ科)[譲葉・弓弦葉]

春に枝先に新葉が出てから前年の古い葉を落とすことでこの名がついた。老いた親が子にあとを譲るのにたとえ、常緑であることからめでたい木とされ、葉はウラジロやダイダイとともに注連飾りや鏡餅の飾りとして使われる。もう一つの説として弧を描く葉の形を(または太い主脈を)弓の弦にたとえたとも。庭木や公園樹として植栽される。樹皮や葉にダフニマクリンなどのアルカロイドを含み、民間療法で煎汁を駆虫に用いるが、誤食すると心臓麻痺等を起こすおそれがある。
ユズリハ属はかつてはトウダイグサ科に含められていたが、心皮が3ではなく2なのでユズリハ科に分離された。

山地の広葉樹林内に生える雌雄異株の常緑小高木。幹は直立し、まばらに分枝して高さ4-10m、幹径30cmほどになる。樹皮は灰褐色で縦の筋が入り、楕円形の皮目がある。
葉は枝先に輪生状に集まって互生し、長さ15-20cm、幅3-7cmの狭長楕円形で全縁、基部はくさび形で先は急に短くとがる。革質で両面とも無毛。表面は深緑色でやや光沢があり、裏面は粉白色を帯びる。側脈は12-19対。葉柄は長さ3-6cmで赤みを帯びる。春先に新葉が出たあと、古い葉は黄色くなって落ちる。
前年枝の葉腋から長さ4-8cmの総状花序を出し、緑黄色の小さな花をつける。雄花は萼片がないか、あっても極めて小さい。花弁はない。雄しべは7-12個、花糸は長さ1.5mmで離生し、開花時にほぼ平開する。葯は褐紫色。ふつう退化した雌しべはない。雌花は花序にまばらにつき、仮雄しべが7-8個あり、子房は長さ1-2mmの卵形で花柱は2-4深裂して外側に反り返り、内側が柱頭となる。
果序は下垂し、果実は長さ8-9mmの卵状楕円形の核果で、10-12月に粉白をまとった暗青色に熟す。

葉柄が赤みを帯びないものを、アオジクユズリハという。エゾユズリハは日本海側の山地のブナ林に多く、下部は地をはい、高さ1-3mにしかならない。葉はやや小さくて薄く、側脈は8-10対。暖地の海岸沿いの林内に生えるヒメユズリハは、葉が小さくて幅が狭く、網状脈が目立つ。果序は下垂しない。
花期:4-6月
分布:本(宮城・新潟県以西)・四・九・沖
撮影:2019.5.30 川崎市多摩区
ユズリハ-2
春に枝先から新葉を伸ばす。 2017.4.26 横浜市戸塚区

ユズリハの葉
葉の表面に光沢があり、葉柄は赤みを帯びる。成葉は垂れる。 2022.3.24 川崎市多摩区

ユズリハの葉-2
裏面は粉白色。 2021.11.8 神奈川県藤沢市

ユズリハの花(雄花)
雄花は7-12個の雄しべがある。 2021.4.22 東京都八王子市

ユズリハの花(雌花)
雌花の花柱は2-4裂して反り返る。 2021.4.15 神奈川県藤沢市

ユズリハの果実
果実は粉白をまとった暗青色に熟し、果序は下垂する。 2021.11.8 神奈川県藤沢市

ユズリハの樹皮
樹皮は灰褐色で縦の筋が入り、楕円形の皮目がある。 2018.2.6 横浜市南区

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