ゼニアオイ

ゼニアオイ(アオイ科)[銭葵]

名は、花の形を銭に見立てたものという。果実の形は銭の穴にひもを通して輪にしたものによく似ており、こちらのほうが本当の由来ではないかと思う。なお、近年はゼニアオイをウスベニアオイの一形態とみて区別しない見解がある。

ヨーロッパ原産の越年草で、江戸時代に観賞用に移入され、現在でも植栽されているが、人家周辺の空き地や道端などで野生化している。
茎は緑色の円柱形で無毛またはまばらな毛があって直立し、下部で分枝して高さ0.4-1mになる。
葉は長柄があって互生し、直径7-13cmのほぼ円形で浅く5-7裂し、裂片は円く縁の鋸歯は鈍くとがり、基部は浅い心形。ほぼ無毛。
花序は葉腋から出て束生し、花柄は花期に長さ約1.5cmと短いが、果期には伸びる。萼に接する小苞は幅が広く、長楕円形~卵形。萼は浅く5裂し、裂片は3角形で果期に果実を包む。花は直径2.5-3.5cm。花弁は平開し5個、淡紫色で濃紫色の筋があり倒心臓形で先はくぼみ、基部はくさび形。雄しべは多数あり、花糸の下半部は合着して1個の筒となり、雌しべを囲む。花柱の先は10裂する。
果実は10-11個の輪状に並んだ分果からなる。分果の表面は網状脈があり、成熟すると蜂の巣状にくぼむ。各分果は1個の種子を入れる。

花と葉を日干ししたものを錦葵(きんき)といい、煎汁をうがい薬とする。生花または乾燥した花はハーブティーとして利用される。
よく似たウスベニアオイは、茎に開出毛があり、葉の切れ込みは深い。花は淡紅色~白色。名前が似ているゼニバアオイは茎は地をはい、花は直径1-1.5cmと小さい。
花期:6-10月
分布:帰化植物
撮影:2002.6.22 埼玉県東松山市

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