ズダヤクシュ(ユキノシタ科)[喘息薬種] |
名は、北陸地方や北信の一部地域で喘息のことを「ズダ」といい、「薬種」とは薬の材料のことで、この草が喘息に効くことからついたという説と、果実の形が頭陀袋(僧が修行の旅をするときに首に掛けて持ち歩いた袋)に似ているからついたという説がある。前者が定説。 梅雨時の登山道の傍らでよく出会う花で、派手さはないが、楚々とした美しさをもっている。 山地帯~亜高山帯の湿った樹林下に生え、高さ10-40cmになる多年草。全体(花茎、葉柄、花柄、萼)に腺毛が密生してざらつき、地下に根茎があり走出枝を出す。 根生葉は長さ2-12cmの長い柄があって直径2-6cmの広卵形で5浅~中裂し、裂片には鋸歯があり基部は深い心形、表面と裏面脈上に粗毛が生える。茎葉は根生葉と同形で2-4個が互生する。花があると間違うことはないが、葉はチャルメルソウ属、特に花茎に葉がつくエゾノチャルメルソウによく似ている。 茎の先にややまばらな総状花序をつけ、白い長さ5mm、径3mmほどの筒状鐘形の花を斜め下向きに咲かせる、花は下から咲き上がる。花の造りはちょっと変わっていて、卵形で白い花弁のように見えるのが萼片で、花弁5個は白色で長さ2.5mmの針状で萼片より長いが目立たず、雄しべのように見える。雄しべは10個で花外に突き出る。花柱は2個で大小がある。 果実は舟形の蒴果で大小2個でき、小さいほうが大きい方の上に乗る。種子は長さ1.2-1.4mmの狭卵状楕円形で光沢があり、黒色。 花期:5-8月 分布:北・本・四 撮影:2006.7.8 秋田県鹿角市 |
花弁に見えるのは萼片で花弁は針状。 2006.5.20 青森県八戸市 葉はコチャルメルソウの葉と似ており、広卵形で5浅~中裂し、基部は深い心形。 2006.7.8 秋田県鹿角市 果実は舟形。 1998.5.24 青森県横浜町 果実。 2020.9.29 山形市 |
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