バイカウツギ

バイカウツギ(アジサイ科)[梅花空木]

名は、ウツギの仲間で花がウメを思わせることからついたもの。南国に多いので別名サツマウツギというが、鹿児島県での自生は確認されていないという。分布を岩手県以南と書いてある図鑑がほとんどだが、北限は青森県であり、少ないながら太平洋側にも日本海側にもある。
枝先に純白の花をふっくらと咲かせる様は、清楚で上品な趣がある。初夏、柔らかく開いた花は、かすかに甘い香りを放つ。

山地の林縁や沢沿いに生え、よく二叉分枝して高さ1-3mになる落葉低木。髄は白く、樹皮は灰褐色で縦に薄く剥がれる。若枝は赤褐色で縮れた軟毛がある。
葉は対生し質は硬く、長さ5-10cm、幅1.5-4cmの卵形~広卵形で縁にまばらな突起状の鋸歯があり、基部は円形で先は尾状に伸びて鋭くとがる。両面に微毛が散生し裏面は特に脈沿いや脈腋に多い。基部近くから伸びる3本または5本の葉脈が目立つ。葉柄は長さ0.5-1cm。
枝先に集散花序を出し、直径2.5-3cmの白い花を5-10個下向きにつける。花柄は長さ5-7mmで白毛がある。苞は線形。萼筒は長さ3-4mmの倒円錐形で白毛がある。萼片は4個、長さ4-5mmの卵形で縁に短毛が密生する。花弁は4個、長さ1-1.5cm、幅0.8-1.1cmの広卵形で先は円く平開する。雄しべは約20個。花柱は無毛で長さ8mm、先が4裂し、花柱の枝は長さ2mm。
果実は長さ7-8mmの倒卵状円錐形の蒴果で、萼片と花柱が宿存し9-10月に熟し4裂する。種子は多数で褐色、長さ1.5-2mmの狭長楕円形で片側に膜質の翼がある。

葉の裏面に毛が密生ものをニッコウバイカウツギ(ケバイカウツギ)といい、本州に分布する。脈腋を除き無毛で花柱に毛があるものをシコクウツギといい、愛知県以西と四国、九州に分布する。
園芸種もよく庭木として栽培されるが、品格において野生のバイカウツギには遠く及ばない。茶花にはやはり野生種ということになろう。
花期:6月
分布:本・四・九
撮影:2002.6.16 青森県南部町
バイカウツギ-2
2003.6.15 岩手県岩泉町


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