ガマ(ガマ科)[蒲] |
名の由来は、朝鮮語のカム(材料の意)で葉を編んでむしろや敷物にすることからついたというが、アルタイ語のアシを意味するkamaが古い時代に日本語のカマに転じたとするものなど異説も多い。 ガマは古来さまざまな用途に利用されてきた。若葉は食用とし、茎や葉は編んで敷物などに加工した。穂綿には硝石などを混ぜ火打石の火口とした。 漢方ではヒメガマの花粉を蒲黄(ほおう)とよんで止血や利尿に用いた。また、穂綿は綿の代用として寝具に入れ、ここから「蒲団」の名がついた。なお、かまぼこは「蒲鉾」と書くが、もともとは蒲穂子の意味で、ガマの穂の形に由来する。 池沼や休耕田、川岸などの浅い水辺に生え、茎は直立し高さ1.5-2mになる雌雄同株の多年草。根茎は土中を長く横走して広がる。 葉は無毛でやや質が厚くて軟らかく、長さ1-2m、幅1-2cmの線形で直立し、下部は鞘状となって茎を包む。 茎の先に円柱状の花穂をつける。上部に長さ5-12cmで黄色の雄花群をつけ、その下に長さ10-20cm、直径6mmほど(花時)で淡緑褐色の雌花群をつける。雄花群と雌花群は接してつき、それぞれの花群に早落性の苞がある。雄花は初め苞に包まれているが、成熟すると苞がはずれ、大量の花粉を飛ばす。花粉は黄色で4個が合着する。雌花には花柄があり、多数の糸状体の花被が果期に伸長し長毛となる。柱頭は披針形。 花後に雌花群は花柄が伸びて直径1.5-2cmに膨らんで表面が茶色になり、雄花群は雄花が落ちて軸だけが残る。 果実はごく小さい堅果で、熟すと基部についた長毛により風に乗って運ばれる。種子は1個。 この仲間にはガマのほかにコガマとヒメガマなどがある。コガマは全体に小さく、丈は大きくても1.5mほどで、葉の幅も1cmに満たない。穂の長さは10cm以下。ヒメガマは高さはガマと変わらないが、雌花群と雄花群が緑色の軸を挟んで離れてつくこと、葉の幅が0.6-1.2cmと細いので見分けがつく。 花期:6-8月 分布:北・本・四・九 撮影:2010.8.29 青森県三沢市 |
若い花穂。雌花群は緑褐色。雄花群の基部にはまだ苞が残っている。 2005.7.9 秋田県大仙市 晩秋には穂はほぐれて風によって運ばれる。 2020.12.21 横浜市戸塚区 |
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