ハマボウ(アオイ科)[蔓荊・黄槿] |
名は、一説に浜に生えるホオノキの意で、蔓荊(はまばい)が訛ったものという。また、オオハマボウをハワイ語でhowというのが昔小笠原の住民に伝わったことからついたという説もあるが、定説はない。別種でシソ科のハマゴウの別名もハマボウ(蔓荊)というので混同しやすい。黄槿と書くのは誤用でオオハマボウのことだという。 海岸や河口の砂泥地に生える落葉低木で、高さ2-3mになる。枝は多く分枝し、小枝は灰色の星状毛が密生する。樹皮は白っぽい灰緑色で滑らか、生長すると点状の皮目が出てさらに縦に浅い裂け目が入る。 神奈川県では横須賀市の天神島のみに自生し、北限とされてきたが、平成15年(2003年)に川崎市殿町2丁目の多摩川河口の河川敷で、種子の漂着によるものと考えられる状態での生育が確認され、自生北限は川崎市となった。 葉は互生し、長さ幅とも4-7cmの円形~倒卵状楕円形で、縁に波状の浅い鋸歯があり、先は短く突き出て基部は円形~浅い心形。質はやや厚く、表面はややつやがあって灰白色の硬い星状毛がまばらにあり基部から出る5本の脈が目立ち、裏面は粉白色で灰色の星状毛が密生する。葉柄は長さ0.8-2cm。托葉は星状毛が密生し、長さ約1cmの鈍頭の狭卵状3角形で早落性。葉は秋に紅葉する。 枝先の葉腋に直径5-6cm、淡黄色の花をふつう1個咲かせる。花は一日花で、朝咲いて夕方には閉じる。萼は長さ約2cmの鐘形で5裂し、裂片は3角形で鋭頭、萼の外側の副萼(小苞)は半ば合生してほぼ10裂、裂片は披針形。花弁は5個がらせん状に並び、長さ4-5cmの倒卵形で外面に縦の細脈が多数あり、内面基部は暗赤色。雄しべは多数あって花糸が筒状に合生して雌しべを包み、先に5歯があり、その下に多数の葯がつく。花柱は先で5裂し、柱頭は頭状で暗紅色。 果実は長さ3-3.5cmの卵形の蒴果で、先端はとがり褐色の毛が密生する。熟すと5裂して長さ4-5mmの無毛で腎形の種子を多数出す。 樹皮は強靱なので縄を作るのに用いられる。 小笠原、屋久島以南に生えるオオハマボウは全体に大きく、高さは4-6mになり、花の直径は6-10cm、葉も長さ6-15cmと大きく、基部は深い心形。 花期:7-8月 分布:本(関東地方以西)・四・九 撮影:2016.7.25 神奈川県横須賀市 |
横須賀市佐島の天神島に自生する株。 2016.8.4 神奈川県横須賀市 花弁はらせん状につき、基部は柱頭とともに暗紅色。 2017.7.27 神奈川県横須賀市 咲き終わった花は赤みを帯びる。 2017.7.27 神奈川県横須賀市 葉はほぼ円形で先は短く突き出る。 2017.7.27 神奈川県横須賀市 果実は卵形の蒴果で先端はとがる。 2021.10.6 神奈川県横須賀市 2021.5.14 神奈川県横須賀市 樹皮は白っぽい灰緑色で滑らか。生長すると縦に裂け目が入る。 2019.7.30 神奈川県横須賀市 |
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