ハマゴウ

ハマゴウ(シソ科)[蔓荊・浜香・浜栲]

名は、浜をはう姿からハマハウ、ハマホウから転訛したという説、この葉を潰して抹香を作ったことから「浜香」となったという説などがある。別名ハマハヒ(ハマハイ)。ハマボウともいうが、ハマボウはアオイ科の別種の樹木の標準和名なので使わないほうがいい。

海岸の砂地に群生する落葉小低木で、幹は砂の上や中を長く横にはって伸び、根を下ろす。樹皮は灰褐色。幹から高さ30-60cm、4稜のある枝を立て、若い枝には灰白色の短毛が密生する。葉や果実をもむとユーカリの葉に似た芳香が立つ。
葉は対生し、長さ3-6cm、幅2-4cmの楕円形~広卵円形で全縁、基部は円形で先は鈍形~円形。裏に微細な灰白色の毛が密生するので、葉の表も白く縁取られているように見える。葉柄は長さ0.5-1cm。
枝先に長さ4-7cmの円錐花序を出し、淡青紫色の唇形花を多数つける。花序の軸に灰白色の短毛が密生する。花冠は長さ1.2-1.5cmの漏斗状で外面に短毛があり、上唇は小さくて2裂、下唇は3裂して中央裂片が大きい。萼は長さ約3mmの杯形で5歯がある。雄しべは4個でうち2個が長く、花柱とともに花外に少し突き出る。
果実は直径6-7mmの球形の核果で淡黒色に熟し、下半部は不規則に裂けた宿存萼に包まれる。核は1個で直径5mmほどの球形で4室。果実は海水に浮き、海流散布される。

漢方では乾燥させた果実を蔓荊子(まんけいし)とよび、強壮、風邪薬、浴湯料に用いる。
北の代表的な海浜小低木ハマナスに対し、南の海岸を代表するものであるが、青森県にもいくつか小群生地があり、下の画像の撮影地辺りが日本海側の北限だろう。下北半島の平舘海峡沿いにも生えていて、こっちが最北限と思われる。
ときに単葉と3小葉をもつものがあってカワリバハマゴウとよばれ、奄美大島や沖縄県に生える。
花期:7-9月
分布:本・四・九・沖
撮影:2022.8.5 神奈川県三浦市
ハマゴウの葉
本州最北部の海岸で。 2002.9.2 青森県小泊村

ハマゴウの葉-2
葉の裏面は灰白色の毛が密生する。 2022.8.5 神奈川県三浦市

ハマゴウ-2
淡青紫色の唇形花を円錐状につける。 2017.7.27 神奈川県横須賀市

ハマゴウの花
雄しべは4個で2個が長い。 2016.7.5 神奈川県三浦市

ハマゴウの果実
果実は黒色に熟す。 2016.10.20 神奈川県三浦市

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