ハマウツボ

ハマウツボ(ハマウツボ科)[浜靫]

名は浜に生えて花穂が矢を入れるうつぼに似ていることによる。浜に生え、ウツボグサに似ているからという説もある。砂浜からにょきっと生えている姿に驚かされることが多い。全国的に分布するが、環境省レッドリストでは絶滅危惧Ⅱ類(VU)指定。

ヨモギ属の根に自らの根を食い込ませ、養分を吸い取る葉緑体のない1年生の寄生植物で、高さ10-30cmになる。 海岸や河原の砂地に生え、特にハマオトコヨモギカワラヨモギに多く寄生する。根茎は肥大して塊状。黄褐色の茎は太い円柱状で直立し、白色の軟毛が生え、鱗片状に退化した葉がまばらに互生する。鱗片葉は黄褐色、長さ1-1.5cmの狭卵形~披針形で先は膜質となってとがる。
茎の上部1/2ほどを占める花穂に淡紫色の花を密につける。花軸、苞、萼、花冠には白い軟毛がやや密に生えるが腺毛はない。花は柄がなく、鱗片状の苞の腋に1個ずつつく。苞は長さ1.5cmの披針形~3角状卵形で先はとがる。萼は膜質で長さ1cm、2片に深裂してさらに2裂して先はとがる。花冠は太い筒部のある長さ約2cmの2唇形。上唇は浅く2裂、下唇は3裂し、裂片の縁は波打つ。雄しべは4個で花筒の内面に付着して花筒から外に伸びず、背面の2個は腹面の2個よりやや長い。葯は2室で平行してつき、下端はとがる。雌しべは1個で花柱は細長く、先は広がり浅くへこむ。子房は上位、1室で4個の胎座がある。
果実は長さ約1cmの狭楕円形の蒴果で、萼に包まれ熟すと2裂する。種子は黒色で微細な球形で網目模様がある。種子は宿主の根に接触しないと発芽しないという。

丘陵地の日当たりのよい草地に生え、オトコヨモギに寄生し、全体に毛が少ないものをオカウツボというが、YListでは区別せずに別名としている。同属の帰化植物であるヤセウツボがはびこっており、全体に短い腺毛が密に生え、花は淡黄色。
花期:5-7月
分布:日本全土
撮影:2005.7.3 青森県八戸市
ハマウツボ-2
花軸、苞、萼、花冠には白い軟毛が密に生えるが腺毛はない。 1998.7.5 青森県八戸市

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