ハシリドコロ

ハシリドコロ(ナス科)[走野老]

名は、地下の根茎がオニドコロに似ていて、誤って食べると走り回って苦しむことからついたもの。

青森県以南の山地の谷沿いの湿った木陰に生え、茎は無毛で軟らかく、直立してまばらに枝を分け高さ30-60cmになる多年草。根茎はオニドコロに似ていて太くて節があり、横にはう。
葉は互生し、軟らかくて大きく、長さ6-18cm、幅2.5-6cmの長楕円形で全縁、先はとがり下部は狭まって柄となり、両面とも無毛。
葉腋から花柄を出し、長さ幅とも2cmほどの釣鐘形の花を1個、葉の下に隠れるように下向きにつける。萼は広鐘形で膜質、浅く5裂し、花後に大きくなり果実を包む。花冠は狭鐘形で浅く5裂し、外面が暗紅紫色、内面が黄緑色。雄しべは5個で花糸の基部は有毛、葯は楕円形で2室、縦に裂ける。子房は上位で2室、花柱は1個で糸状。
果実は直径1cmの球形の蒴果で大きな萼に包まれ、横に割れて上半部が取れて種子を散らす。種子は長さ2-3mmのゆがんだ卵形の蒴果。種皮に粗い網目模様がある。

若葉はみずみずしく、いかにもおいしそうに見えるが、全草にヒヨスシアミン、アトロピンなどのアルカロイドを含み有毒。製薬原料としても使用され、根茎を乾燥したものはロート根といい、エキスは鎮痛薬や眼薬の原料となる。
花期:4-5月
分布:本・四・九
撮影:2009.4.6 東京都奥多摩町
ハシリドコロの花
萼や花冠は浅く5裂。 2009.4.6 東京都奥多摩町


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