イワイチョウ(ミツガシワ科)[岩銀杏] |
葉がイチョウの葉に似ていることからこの名がある。ただ、岩上には生えないので「イワ」の名はどうしてついたのかよく分からない。別名ミズイチョウといい、別名のほうが適切であろう。秋になるとイチョウのように黄葉する。1属1種。 亜高山帯~高山帯の湿原の池塘や遅くまで残雪がある斜面など水分の多いところに群生する多年草で、高さ15-40cmになる。根茎は肥厚して横に伸び、ひげ根を出す。 葉は数個が全て根茎から出て、長さ20cm弱の長い柄の先につく。葉身は無毛で光沢があって内側に巻き、長さ3-6cm、幅4-10cmの厚い腎円形で基部は心形、先は少しへこみ、縁に基部を除いて細かく揃った鈍鋸歯がある。 茎の上部に、直径1-2cmの白色、漏斗状の花を数個~10個、集散状にまとめてつける。花柄は長さ0.7-1.5cm。萼は5深裂し、萼裂片は長さ約3mmの披針形~3角状卵形で鈍頭。花冠は無毛で星形に5深裂し、裂片は狭卵形で長さ約8mm、縁は波打ち、縦に走るひだがある。 種小名のcrista-galliはニワトリの鶏冠(とさか)のことで、このひだをそれに見立てたもの。雄しべは5個で花冠裂片と互生する。子房は中位で基部に5個の蜜腺がある。柱頭は楯形で2個。ミツガシワと同じく、株によって雌しべが雄しべより長い長花柱花をつけるものと、雌しべが雄しべより短い短花柱花をつけるものがある。 果実は長さ1.2-1.6cmの円柱状の蒴果で熟すと先から4裂する。種子は光沢のある灰白色で長さ2.5mmの楕円形。 花期:6-8月 分布:北・本(中部地方以北) 撮影:2006.6.25 秋田県由利本荘市 |
短花柱花。 2006.6.25 秋田県由利本荘市 長花柱花。 2018.7.2 長野県小谷村 葉は光沢があって内側に巻き、厚い腎円形。縁に細かく揃った鈍鋸歯がある。 2006.6.25 秋田県由利本荘市 |
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