イワショウブ(チシマゼキショウ科)[岩菖蒲] |
名は、葉がショウブに似ていて岩場に生えるという意味だが、主に湿地に生えるので、この名はイワイチョウと同様に適当とはいえない。花序が粘り、よく微小な虫が付着していることからムシトリゼキショウの別名があるが、食虫植物ではなく、花を害虫から守っているのだろう。 低地の湿地から高山帯の高層湿原や雪田の縁まで広く生え、高さ20-40cmになる多年草。茎の下部は古い葉柄が繊維になって残る。 根生葉は名のとおりショウブに似ていて、中脈に沿って内側に折れた長さ5-40cm、幅3-8mmの剣状線形で先がとがり、基部近くで袴状になって互生、外側の葉は短く内側の葉は長い。5-10本の平行脈がある。茎葉は下部では根生葉と同様で上部では1-2個の鱗片葉となる。 花茎の先端に、線香花火がはじけたような白~淡紅色の花が1節から3個ずつつく。花柄は長さ0.4-1.2cm、花茎上部や花序とともに密に腺状突起があり、斜め上を向き総状に集まる。苞は卵形または披針形、花の下に3中裂する杯状の小苞がある。花被片は6個あって無毛、長さ3.5-7mm、幅2mmの長楕円形で先は鈍形。雄しべは6個で花被片と同長、花糸は白色で無毛、葯は底着し、心形で長さ1mm、幅0.8mm、紫黒色~薄茶色。子房は上位で無毛、花柱は3個で柱頭は点状、果時に宿存し、長さ1.5-2mm。 果実は長さ5-7mmの卵球形の蒴果で、秋に赤く色づきよく目立つ。種子は長楕円形で、先には糸状の付属体がある。 よく似たヒメイワショウブは中部地方以北の高山の湿った草原や礫地に生え、高さ5-15cmと丈が低く、花は淡緑白色で1節に1個ずつつく。花序などに腺状突起はないので粘つかない。 花期:7-10月 分布:本(岩手、秋田県以南~伯耆大山以北) 撮影:2009.8.2 岩手県一関市 |
花茎上部、花序、花柄は粘る。 2006.7.29 福島県南会津町 蕾のときや開花直後は花被が赤みを帯びる。 2006.7.29 福島県南会津町 若い果実。 2013.8.28 岩手県八幡平市 |
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