ケヤキ(ニレ科)[欅] |
名は、木目が美しいのでケヤケキキ(尊い、優れた、目立つ木)の意という。ほかにキメアヤギ(木目綾木)の意、カヨキ(香好)の転とするものなど諸説ある。別名ツキ(槻)という。 扇を半ば開いたような樹形が美しく、公園樹、街路樹として、また防風、防火のための屋敷林として好んで植栽される。特に関東平野に多いが、各地に天然記念物に指定された名木があり、その一つである山形県の東根の大ゲヤキは、樹齢1500年以上と推定され、高さ28m、直径5mもある。材は黄褐色~紅褐色で木目が美しく、狂いがほとんどないので、寺社建築、家具や楽器、臼、盆など、さまざまな用途がある。宮城、福島、埼玉県の県木。 山地~沿海の谷沿い、川岸に自生する雌雄同株の落葉高木で、幹は直立して高さ20-25m、幹径1.5mほどになる。枝が放射状に出るので扇を半ば開いたような整った樹形になる。本年枝は暗褐色で細く、細かい白色の微毛が密生する。樹皮は若木は灰色で滑らか、成木、老木は灰紫褐色で円く小さい皮目が多く、まだらに剥がれる。 葉は互生し2列に並び、長さ3-7cm、幅1-2.5cmの狭卵形~卵形で縁に下辺が円くカーブしてから鋭くとがる鋸歯があり、基部は左右非相称の円形~浅い心形で先は鋭くとがる。質はやや薄く、表面は濃緑色でやや光沢があり、微毛があってややざらつく。裏面は灰緑色で脈沿いに微毛がある。葉柄は長さ1-3mm。側脈は8-18対で分岐せず鋸歯の先端まで達する。秋に黄色から赤色に色づくが、黄葉しないで枯れるものも多い。托葉は長楕円状披針形で開葉後すぐ落ちる。 葉の展開と同時に淡黄緑色の小さな花が開く。雄花は本年枝の下部の葉腋または苞腋に数個ずつ集まってつく。花被は直径2.5mmの椀状では4-6中裂し、花被片と対生する4-6個の雄しべがある。雌花は本年枝の上部の葉腋にふつう1個、まれに3個束生する。雌しべの花柱は2裂して裂片は長さ1.5mmで反り返り、柱頭には乳頭状の突起が密生する。雄しべを欠くものと退化した雄しべがあるものとがある。 果実は痩果でその年の10月に灰黒色に熟す。長さ4-5mmの稜がある扁平な腎形で、網紋と微毛がある。ケヤキには面白い性質があり、数個の枯葉と果実をつけた枝ごと分離し、葉を翼代わりにして親木から離れたところに落ちて殖える。 葉の両面と葉柄に密に毛があるものをメゲヤキといい、日本海側に多い。 旧分類体系では同じニレ科であったムクノキやエノキは葉形が似ている。ムクノキは鋸歯が円いカーブを描かず(直線的)にとがり、側脈は鋸歯の先端まで達し、途中分岐する。エノキは側脈は鋸歯まで達せず、途中分岐する。 花期:4-5月 分布:本・四・九 撮影:2016.4.19 横浜市中区 |
扇を広げたような樹形となる。 2020.11.18 横浜市中区 春の芽出しの頃。 2020.3.25 横浜市中区 雄花。4-6個の雄しべがある。 2020.4.7 横浜市中区 雌花。柱頭は2個。 2020.4.7 横浜市中区 鋸歯の下辺が円くカーブしてから先が鋭くとがる。葉の基部はやや心形。 2020.4.7 横浜市中区 果実はゆがんだ腎形。枝葉ごと落ちる。 2021.10.12 横浜市中区 若木の樹皮は滑らか。 2019.10.24 神奈川県逗子市 成木になると樹皮が雲紋状にはがれ、褐色の地が現れる。 2020.3.25 横浜市中区 |
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