キリ(キリ科)[桐] |
名は、切ってもすぐ芽を出すので2-3年で根元から台切りして強い萌芽を育てたことからという。旧分類体系ではゴマノハグサ科やノウゼンカズラ科に含められていたが、現在では独立したキリ科とされている。 古くから栽培されているが、野生化したものも見られる。寒地で育ったキリは良質であることから岩手県は有数の名産地で、県花にも指定され、「南部桐」といわれて珍重とされている。材は耐湿・耐乾性に富み、軟らかく軽いので、タンスや琴などの楽器、下駄など広く用いられる。生長が早く良質な家具材となる。かつては女の子が生まれるとキリを植えて嫁入りのときに箪笥を作ったという話もある。人家周りでもよく幼樹がエアコンの室外機の周囲で巨大な葉をつけて生えている。キリにとって室外機の何が心地よいのか分からない。 中国中部原産で古い時代に移入されたものと考えられている落葉高木。高さ8-15m、幹の直径30-50cmになり、樹皮は灰白色で楕円形の皮目が多く、縦に浅く裂ける。 葉は長さ6-20cmの柄があって対生し、長さ15-30cm、幅10-25cmの大きな広卵形~5角状でほぼ全縁または3~5浅裂し、基部は心形~円形で先はとがる。幼木の葉はさらに大きく、長さ60cmに達する。表面は脈上に腺毛が散生し、裏面は灰黄緑色で星状毛と腺毛が密生する。 秋に枝先に大きな円錐花序を直立して多数の蕾をつけ、翌年の春に淡紫色の花を開く。花は葉が展開する前に開花する。萼は茶褐色の毛が密生し長さ1.2-1.5cm、5深裂し裂片は卵形で鈍頭。花冠は外面に短毛があり、長さ5-6cmの筒状鐘形で先は5裂しやや唇形で、裂片は円形で平開する。雄しべは4個で下側の2個が長く、花筒より短い。 果実は長さ3-4cmの先のとがった卵形の蒴果。茶褐色に熟すと2裂して縁に硬い翼がある長さ3-4mmの扁平な種子を多数出す。 花姿が似ているジャカランダ(和名キリモドキ)はノウゼンカズラ科で、葉は羽状複葉。国内では日南市や熱海市など、各地で植栽されている。 花期:5-6月 分布:帰化植物 撮影:2017.5.15 神奈川県横須賀市 |
大きな円錐花序に多数の花をつける。 2017.5.15 神奈川県横須賀市 萼に茶褐色の毛が密生。花冠外面にも毛がある。 2017.5.15 神奈川県横須賀市 葉は広卵形~5角状。 2019.5.16 横浜市戸塚区 果実は先のとがった卵形の蒴果。茶褐色に熟すと2裂して多数の種子を出す。 2023.10.17 神奈川県大和市 樹皮は灰白色で楕円形の皮目が多く、縦に浅く裂ける。 2019.5.16 横浜市戸塚区 |
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