キツネアザミ

キツネアザミ(キク科)[狐薊]

花がアザミに似ていて、アザミだと思って近づくと刺がなく、狐に化かされたように感じるのでこの名がついたものだろうか。冠毛の外列が羽毛状にならないことでアザミ属ではなくキツネアザミ属に分類される。

有史以前に渡来した史前帰化植物で、田のあぜや畑に多く生えるが、原野や道端などにも出現してよく目立つ。茎に縦筋があって直立し、高さ0.6-1.2mになる1属1種の越年草。
秋に芽生えてロゼットで越冬する。茎葉は互生し、長楕円形で羽状に深裂し、裂片の隙間は広く、頂裂片は3角状で大きい。刺はなく軟らかい。葉の裏には白いクモ毛が密生する。
茎の上部で枝を分け、直径2-3cmの淡紅紫色の頭花を上向きにつける。総苞は直径1.5-2cmの球形で総苞片は8列に並び、外片の背部に紅紫色でとさか状の突起がある。花は全て筒状花からなり、小花は細く長さ1.3-1.4cm、狭筒部は残りの部分より5倍長い。
痩果は長さ2.5mmの長楕円形で無毛、15本の稜がある。冠毛は2列で、外側は短く花後にも残り、内側は長さ1cmの羽毛状で基部は環状に合生して落ちやすい。

若葉は食用になり、ヨモギの代用として餅に混ぜて食べる。
北海道と東北地方に生えるエゾノキツネアザミは、かつてアレチアザミ属とされていたが、現在ではアザミ属に含められている。似ているが花の色が濃く、葉は切れ込まない。
花期:5-6月
分布:本・四・九・沖
撮影:2003.5.3 埼玉県東松山市
キツネアザミ-2
田のあぜや畑に多い。 2017.4.26 横浜市戸塚区

キツネアザミ-3
頭花はまっすぐ上を向く。 2023.4.20 神奈川県三浦市

キツネアザミ-4
総苞片は8列。 2016.4.20 神奈川県三浦市

キツネアザミの葉
茎葉は羽状に深裂し、裂片の隙間は広い。刺はない。 2019.5.7 川崎市麻生区

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