コマクサ

コマクサ(ケシ科)[駒草]

名は蕾が馬の顔に似ていることからついたもの。属名のDicentraは「二つの距」の意で、2枚の花弁の距が突出していることを表す。種小名peregrinaは「外国の」の意。

高山帯の崩れやすい不安定な砂礫地に生える多年草で、高さ5-15cmになる。コマクサ単独で群落をつくるが、株ごとにパッチ状にぽつぽつと離れて生える。北海道の高山蝶であるウスバキチョウの食草。
他の植物とはめったに混生することのない孤高の花で、高山植物の女王とよばれるだけあって独特の気品を備えている。それゆえ植物愛好家を騙る泥棒や悪徳業者によって掘り採られ、絶滅してしまった山も多い。昔はコマクサに含まれるジセントリン、プロトピンなどのアルカロイドが麻酔用の薬草としてもてはやされ乱採された。我が国のコマクサのタイプ標本は、木曽駒ヶ岳で採取されたものであるが、やはり乱採され、現在木曽駒ヶ岳ではこの花は絶滅し、見ることはできない。

地中深く根を張り、根はヒゲ状で地上部の数倍に広がる。
葉は長い柄があって全て根生し、3出複葉で終裂片は長さ2-6mm、幅1mmの線状披針形で密に集まってこんもりとした塊となる。葉は粉をかぶったような緑色。
根際から出た花茎の先に、長さ2-2.5cmの淡紅色の花を2-7個下向きにつける。花弁は4個あり、外側の2個の花弁は同形で、基部が外側に膨らみ、先は反り返る。内側の花弁はやや小さく、基部と先が膨らみ、2個の花弁の先は互いに接する。外側の2個の花弁の間に小さな萼片があり、早く落ちる。
果実は長さ1.2cmほどの狭長楕円形の蒴果で、枯れた花弁に包まれたまま熟す。種子は光沢がある黒色で、長さ2mmほどの楕円形。

花が白い品種をシロバナコマクサという。
花期:7-8月
分布:北・本(中部地方以北)
撮影:2001.7.20 長野県茅野市
コマクサ-2
他の草が生えない礫地や岩場にパッチ状に生える。 2002.8.2 長野県大町市

コマクサの葉
葉は細かく切れ込んだ複葉で白緑色。 2004.6.27 秋田県田沢湖町

コマクサの花
名は花の形を馬の顔に見立てたもの。 2004.6.27 秋田県田沢湖町

シロバナコマクサに戻る ヤブレガサに戻る タカネシオガマに戻る


検索サイトからこのページへ直接お越しの場合は、 トップページへお回りいただきフレームを表示させてください。