ヤブレガサ(キク科)[破れ傘] |
名は若葉の形が破れた唐傘をすぼめた形に似ていることからついたもの。 山地の林内に生え、根茎が長くはい、ときに群生する。花茎は直立し、高さ0.7-1.2mになる多年草。芽出しは人気があるが、生長するとほかの草に埋もれ、花が地味なこともあって全く注目されなくなる。 ヤブレガサ属は、双子葉植物でありながら胚にある子葉が1個(2個の子葉が合生したものという)であるのが大きな特徴。このような植物はほかにニリンソウ、コマクサ、ヤマエンゴサク、ヒシなどがある。芽生えて数年は根生葉1個を出し、株が充実してくると花茎を伸ばし花を咲かせるようになる。 根生葉は1個で葉柄は直立し、春に土からすぼめた傘を開くように出てくる。密にクモ毛をまとうが後に無毛となる。茎葉は2-3個で互生し、下部の葉は長さ7-15cmの葉柄に楯状につき、直径35-50cmの円形で掌状に深く裂け、裂片は7-9個、しばしば2中裂し、終裂片は鋭尖頭で幅2-4cm、縁に不揃いな鋭鋸歯がある。表面はやや光沢がある。 頭花は円錐花序に多数つき、直径0.8-1cm。花柄は長さ0.3-1cm。総苞は長さ0.9-1cmの円筒状で総苞片は淡紫色を帯びてやや厚く、1列で5個。総苞の下に長さ1.5-3mmの線形の苞が1-2個ある。頭花は7-13個の両性の筒状花からなり、全て結実する。花冠は白色でときに淡紅色を帯び、長さ0.9-1.2cm、先は5裂し、裂片の先に短毛がある。花床は無毛。長い雌しべが花冠から突き出て先が2裂して反り返る。 痩果は長さ4.5-5mmの円柱形で無毛。冠毛は淡黄褐色で長い。 新芽はモミジガサ同様山菜として利用する。モミジガサほどのクセと香りがないが1か所見つけると収穫量は多い。 タンバヤブレガサは京都府の一部地域にあり、葉の裂片の幅が4-8mmと狭く、花序は散房状。ヤブレガサモドキは高知、愛媛県に分布し、葉の鋸歯は少なく、花序は散房状。花茎の葉腋にむがごがある。平成25年(2013年)に新種として発表されたヒュウガヤブレガサは、石灰岩地を好んで生え、頭花が少なく、総苞は長さ約1.5cmと大型、葉の下面は白緑色で細脈が隆起してよく目立つ。 花期:7-10月 分布:本・四・九 撮影:2009.7.26 青森市 |
芽出しはクモ毛に被われている。 2017.3.30 横浜市緑区 次第に傘を広げ始める。 2010.5.8 青森県六ヶ所村 円錐花序に多数の頭花がつく。 2023.5.26 東京都八王子市 頭花は筒状花からなる。総苞片は1列5個、下に線形の苞がつく。 2018.6.13 神奈川県横須賀市 長い雌しべが花冠から突き出て先が2裂して反り返る。 2023.5.26 東京都八王子市 |
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