クゲヌマラン(ラン科)[鵠沼蘭] |
神奈川県藤沢市鵠沼の海岸で発見されたのでこの名がある。環境省レッドリスト絶滅危惧Ⅱ類(VU)。 主に砂地のクロマツ林内に生える多年草で高さ20-40cmになる。 ギンランに比べて全体に大きくて花の数も多く、しばしば10個以上つく。葉はむしろキンランに似て細長く、縦の筋が顕著に通って厚みがあり、基部は茎を抱く。 花は平開せず、背萼片は狭卵形、側萼片は斜卵形 、側花弁は卵形、唇弁は広卵形で先端は3裂し中裂片は広卵形、側裂片は3角状卵形。距は短く、僅かに側萼片の間に頭を出す程度。花の先端は常に斜め上かそれより上を向く。苞は線状披針形。 近年、神奈川県下で海岸から離れた内陸部の公園や霊園などに数百株単位で大量発生した例があった。もはや絶滅危惧種の看板を外してもよさそうだが、この状況がいかにも帰化植物的であるとして、鵠沼のクロマツ林下で保護されている従来の株と併せてDNA解析が行われた。その結果、新産地のものはヨーロッパ産の外来系統ではなく、在来の系統または国内外来系統のいずれかであることが明らかにされた。ただ、大量発生に至った要因についてはいくつか考えられるものの、それぞれの要因がどのように関与して大量発生に結びついたのかはいまだ明確になってはいないようだ。 上の画像の個体は青森県の海岸砂地に植林された丈の低いクロマツ林内にぽつんと2株あったもの。初めはギンランかササバギンランかと思ったが、ギンランより明らかに背が高く、葉にしわがはっきりと入り、見るからに豪壮で異なる雰囲気があった。関東地方で大量発生しているものが国外外来系統ではないと納得していても、それが今まで自分が思っていたクゲヌマランと同じものとはなかなか考えられない。ヨーロッパ産の系統はどのようなものかは知らないが、まさかそれではなかろうと思う。 花期:4-6月 分布:北・本 撮影:2001.6.3 青森県東通村 |
ギンランよりも全体に大型。 2023.4.18 東京都八王子市 距は短く、側萼片の間に僅かに確認できる程度。 2023.4.18 東京都八王子市 2023.4.18 東京都八王子市 葉は縦の筋が顕著に通って厚みがあり、基部は茎を抱く。 2023.4.18 東京都八王子市 |
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