クズ(マメ科)[葛] |
名の由来は、大和(奈良県)の国栖(くず)が産地だったからとか、国栖の人が葛粉(根からとったデンプン)を売り歩いたからといわれる。 秋の七草の一つで、林縁や荒れ地など山野に普通に見られ、つるを伸ばして猛烈な勢いで広がる多年草。つるは盛夏には1日に30cm以上も伸びるといわれ、長さは長いもので20mにも達する。 根は太くて長く伸びる。茎の基部は木質化して直径5-6cmになり、木質化した部分を除いて黄褐色の粗毛が生える。つるはZ巻き(上から見て反時計回り)。 葉は互生し、3出複葉で小葉は長さ幅とも10-15cmの先のとがった広卵形で全縁、しばしば2-3浅裂する。葉質は厚く、表面は粗い毛がまばらに生え、裏面は白色を帯びて白色の毛がやや密生する。長い葉柄があり夜には就眠運動によって小葉は垂れる。 葉腋から長さ20cmほどの総状花序を立て、多数の蝶形花がつける。花には甘い香りがあり、紅紫色で長さ1.8-2cm。旗弁の基部に目立つ黄斑がある。雄しべは単体で10個が合着している。 豆果は長さ5-10cmの返杯な線形で、褐色の開出した剛毛が密生する。熟すと2片に裂開するが、種子をはじき飛ばすことはない。種子は10個ほど入っており、長さ4mmほどで茶褐色に黒い斑紋が入る。 アメリカではかつて日本のクズを裸地の緑化や飼料に利用したが、その旺盛な繁殖力のため、今では害草として駆除の対象になっており、世界の侵略的外来種ワースト100にも選定されている。成熟した個体の根には大量のデンプンが蓄積されており、乾燥したものは漢方では葛根(かっこん)といって風邪の薬として用いられる。茎からとった繊維で織った布を葛布といい、壁紙や工芸品に利用されている。 まれに白い花をつける品種があり、シロバナクズという。奄美大島以南に分布するタイワンクズは、小葉は卵形~狭卵形で切れ込まず、花は淡青紫色で花序は葉より高く突き出る。 花期:7-9月 分布:日本全土 撮影:2016.9.12 神奈川県横須賀市 |
花は下から咲き上がっていく。 2017.9.8 神奈川県葉山町 葉は3出複葉で小葉は長さ15cmにもなる。 2018.9.11 横浜市栄区 豆果は褐色の剛毛が密生する。 2019.10.24 神奈川県逗子市 |
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