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ムベ(アケビ科)[郁子] |
名の由来は一説にオオニエ(大贄)の転訛で、昔、朝廷に献上した大贄(おにえ)の中にこの果実が加えられたことからオオムベ→ウムベ→ウベ→ムベと転訛したとする。また古語エビの転で、エは赤の意味とするものも。不老長寿の秘訣として老夫婦から差し出されたこの果実を食べた天智天皇が、「むべなるかな」といってうなずいたことによるという説もある。アケビに似て常緑なので別名トキワアケビという。 沿海地の常緑樹林内や林縁に生えるつる性で雌雄同株の常緑木本。つるはZ巻き(上から見て反時計回り)に他物に巻きつき、長さ5-10m伸びる。樹皮は灰褐色で縦に割れ目が入り、小さい皮目がある。 葉は互生し、革質で表面は光沢があり、裏面は淡緑色で網状脈が目立つ。長さ15-30cmの掌状複葉で小葉はふつう5-7個だが、長く伸びた若枝では3個のものもある。 3-5-7と増えて7葉になると実を結ぶといわれて七五三にかけてめでたい植物とされ、生け垣として植栽される。小葉の柄は長さ1-4cm。小葉は長さ6-12cm、幅2-4cmの楕円形~卵形、全縁で基部は円形で先は短く突き出てとがる。裏面の網状の脈が目立つ。 短枝の葉の腋から短い総状花序を出し、淡黄白色の花を下向きに3-7個つける。花弁はなく、花弁状の萼片6個が3個ずつ2列に並び、内面は暗紅紫色を帯びる。外側の3個は長さ1.3-2cmの披針形、内側の3個は線形。雄花には合着した6個の雄しべがある。雌花は雄花よりやや大きく、雌しべが3個ある。 果実は長さ5-8cmの卵円形の液果で、秋に紫色に熟すが裂開しない。果肉は白くて甘みが強く、アケビ同様生食される。古来ムベの産地だった近江国では、毎年陰暦11月1日に朝廷への貢ぎ(むべの貢)が行われたという。種子は長さ5-8mmの黒色で多数。 漢方ではつるや葉を野木瓜(やもっか)といって薬用とする。 ![]() ![]() ![]() ![]() |
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