アケビ(アケビ科)[木通・通草] |
名は、果実が口を開くから「開け実」、果実の色から「朱実」、果実が口を開いた様子が「あくび」に似ているからなど諸説ある。なお、牧野富太郎は「開けつび」が縮まったもので、「つび」とは女性の局部を表すことばであって果実の形からきたものだといっている。ここで牧野説の詳細は書かないが、牧野説が最もすんなり来る説明だと思う。 山地に普通に生える雌雄同株のつる性落葉木本で、他の樹木に巻きついて長く伸びる。つるはZ巻き(上から見て反時計回り)に巻き上がる。北限は青森県であるが、青森県ではごくまれで、アケビといえば専らミツバアケビを指す。 樹皮は暗褐色で浅い割れ目があり鱗状になる。 葉は無毛で長枝で互生、短枝で束生して2-3個つき、掌状複葉で5小葉からなる。葉を見れば3小葉のミツバアケビとの区別は容易。小葉は長さ3-10cmの狭長楕円形で全縁、基部はくさび形~円形で先は円くてときに先端がくぼむ。小葉柄は長さ0.5-3cm。表面は濃緑色で裏面は淡緑色。葉柄は長さ3-10cm。 散房状または総状の花序が葉の間から下垂し、先の部分に直径1-1.5cmの雄花を数個、基部に1-3個の雄花より大きくて柄も長い直径2.5-3cmの雌花をつける。花弁はない。雄花は長さ1-2cmの花柄の先につき、萼片は淡紫色~白色で3個、雄しべは紫色で6個あり、葯は花糸の外面に2個並んでつく。雌花は長さ4-5cmの花柄の先につき、紅紫色の萼片3個と紅紫色で円柱形の雌しべが3-9個ある。 果実は長さ5-10cm、直径3-4cmの楕円形の液果。9-10月に黄褐色~紫色に熟して縦に裂開する。果肉は白色で甘く、褐色~黒褐色で長さ5-7mmの種子が多数ある。 ミツバアケビは山地に多く、3出複葉で長い柄がある。花は黒紫色。果実はアケビより大きく、食用に適している。 ゴヨウアケビは、アケビとミツバアケビの自然雑種とされ、小葉はふつう5個、ときに3個で縁に波状の鋸歯がある。花はミツバアケビより薄い暗紫色で、果実ができないものもある。 アケビやミツバアケビの茎は漢方では木通(もくつう)とよばれ、利尿などに用いられる。 アケビと同じく掌状複葉になるムベは、葉は常緑で光沢があり、萼片は大きく、外側に反る。分布は西日本に傾く。 花期:4-5月 分布:本・四・九 撮影:2017.4.10 神奈川県横須賀市 |
他の木に絡んで長く伸びる。 2021.4.1 神奈川県茅ヶ崎市 雄花は淡紫色~白色。 2016.4.8 横浜市南区 雌花は花序の基部につき、紅紫色。 2016.4.8 横浜市南区 葉は5小葉で縁に波状の鋸歯はない。 2008.4.28 山梨県都留市 果実は秋に黄褐色~紫色に熟す。 2021.9.16 神奈川県茅ヶ崎市 |
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