オオアレチノギク

オオアレチノギク(キク科)[大荒地野菊]

牧野富太郎が大正9年(1920年)に東京で本種を見いだした当時、アレチノギクヒメムカシヨモギの雑種と想定したことにより、アレチノギクより大型であることからこの名がついた。昭和27年(1952年)に北村四郎により雑種起源ではなく別種であることが示された。種小名sumatrensisはインドネシアのスマトラ島のことで、そこで採集された標本を基に命名されたもので、大航海時代に世界中に広がった。

南アメリカ原産の1年草~越年草で、道端や空き地、畑など隙間があればどこでも生える。日本生態学会が定めた日本の侵略的外来種ワースト100に選定されている。関東地方以西で勢いがよく、北海道や本州北部ではヒメムカシヨモギが普通で、オオアレチノギクは低温に弱いためかまれにしか見かけることはない。夏~秋にかけて発生してロゼットで越冬する。
茎は開出する白色の軟毛が密にあり、灰緑色を帯びて直立し高さ1-2mに達する。横枝は主茎より高くなることはない。
根生葉は長い柄がある倒披針形~長楕円形。茎葉は互生し、長さ8-15cm、幅1-2cmの狭楕円形~線状倒披針形で縁に4-8個の鋸歯があり、先は鋭くとがり基部は細くなって短い柄となる。両面、特に裏面に密に短毛が生える。葉縁にヒメムカシヨモギのような長毛はなく、1mm程度の短毛が生える。各葉腋に短枝が伸びてそこにも葉をつける。
茎の上部で分枝してヒメムカシヨモギよりも狭い円錐状の花序を出し、多数の頭花をつける。総苞は長さ5mm、幅3-4mmの卵形~短い筒形。総苞片は3-4列、線形~線状披針形で鈍頭、外面に軟毛がある。頭花は少数の筒状花と多数の舌状花からなる。筒状花は灰褐色で5-15個、花冠は5裂する。舌状花は汚白色で数百個あり、花冠は2裂し、舌状部は花柱より短く、総苞内部にあって外からほとんど確認できない。
痩果は淡褐色、やや扁平な長さ約1.5mmの円柱形でまばらな短毛がある。冠毛は淡灰褐色で長さ約4mm、傘状になって風に乗る。

ヒメムカシヨモギとよく混生しているが、ヒメムカシヨモギは毛が硬く、白色の舌状花が総苞の外に出て、はっきりと肉眼で確認できる。また花序が本種より広く、全草が黄緑色。一時見かけることが少なくなったがまた復活してきたアレチノギクは、主茎は高さ30-50cm止まりで横枝が主茎より高く伸びるのが特徴。総苞の長さは6mmほどあり、オオアレチノギクより少し大きい。
花期:7-10月
分布:帰化植物
撮影:2015.8.21 横浜市中区
オオアレチノギクの頭花
舌状部はほとんど見えない。 2017.8.21 神奈川県三浦市

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