サギゴケ(ムラサキサギゴケ)

サギゴケ(ハエドクソウ科)[鷺苔]

花の形を鷺の飛ぶ姿にたとえ、苔のように地面に広がるのでこの名がついた。別名ムラサキサギゴケというが、この別名のほうが今でも普通に使われている。かつては花の色が白いものを特にサギゴケといって区別したが、今は、逆に花の白いものを品種シロバナサギゴケという。名の由来からすれば、元のよび方のほうがしっくりくる。サギゴケ属はAPG分類では旧来のゴマノハグサ科からハエドクソウ科に移されたが、サギゴケ科とする見解もある。

田のあぜなどのやや湿ったところに群生する多年草で、周りに匐枝を出して新苗をつくって広がる。
根生葉は長さ2-5cm、幅1.5-2cmの倒卵形~楕円形で縁に不揃いの粗い鋸歯がある。匐枝の葉は無柄で対生し、倒卵形~円形でごく小さい。
葉の間から高さ10-15cmの花茎を伸ばし、長さ1.5-2cmの淡紫色~紅紫色の唇形花をつける。上唇は狭卵形で2裂し下唇より短く、下唇は3裂し中央に2列の隆起した黄褐色の斑紋が入り、棍棒状の毛が生える。雄しべと雌しべは上唇に沿うようにつく。雄しべは4個あり、うち下側の2個が長い。雌しべの花柱の先は上下に扁平な2片に分かれ内面に柱頭があり、触れると急に閉じ、しばらくするとまた開く。これを柱頭運動といい、確実に花粉を受取るための工夫。萼は鐘形で5中裂する。
果実は長さ4mmの扁球形の蒴果で、下半部は萼に包まれる。楕円形の小さな種子を多数含むが、自然状態ではあまり種子繁殖しない。

よく似たトキワハゼは、庭や道端に生える1年草または越年草で全体に小型で匐枝を出さない。上唇は裂け方がごく小さく、下唇の色も白っぽい。
花期:4-6月
分布:本・四・九
撮影:2006.6.3 秋田県仙北市
サギゴケ-2
みんな勝手な向きに咲く。 2015.4.22 横浜市中区

サギゴケ-3
2015.4.22 横浜市中区

サギゴケの雌しべ
雌しべの花柱の先は上下に扁平な2片に分かれ、触れると急に閉じ、しばらくするとまた開く。 2016.4.19 横浜市中区

サギゴケの葉
鋸歯は不揃い。 2016.4.19 横浜市中区

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